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2012 年度 実施状況報告書

養殖用として移入された外来海産魚による日本在来魚への遺伝的撹乱の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23580253
研究機関京都大学

研究代表者

中山 耕至  京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (50324661)

キーワード外来種 / 遺伝的攪乱 / 多様性
研究概要

近年,養殖や放流の目的で,多種の海産魚が韓国・中国等の東アジアから輸入されることが多くなっている.これらが自然海域に広がった場合,日本沿岸の在来同種ないし近縁種に交雑を介した遺伝的攪乱による悪影響を及ぼす可能性が懸念されるが,淡水魚とは異なり現状の調査確認はあまり進められていない.本研究ではスズキ属を主要な対象として輸入魚による遺伝的攪乱の実態を調査するとともに,他の魚種についても国内と国外個体群の比較を行い,遺伝的攪乱の危険性について検討している.
前年度には,外来魚であるタイリクスズキの生息が多数確認されている瀬戸内海の数地点から採集されたスズキ標本約150個体について,ミトコンドリアDNAおよびマイクロサテライトDNAを用いた遺伝分析を行ったが,その結果,数個体ではタイリクスズキとの交雑が示唆される結果が得られた.しかし,分析に用いたマイクロサテライトDNAの座数が少なかったため分析精度が十分でない可能性が考えられ,今年度は分析座数を増やすとともに,分析個体数を約350個体に増加させた.その結果,現時点では,タイリクスズキによる遺伝子浸透が確実に認められる個体は見つかっていない.
その他魚種については,マコガレイ,アカシタビラメについて国内と国外個体群の遺伝的比較を進めるとともに,マハゼ属,コノシロについて新たに分析用試料の収集および遺伝分析を開始した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

外来種タイリクスズキと在来種スズキを対象とした分析はおおむね順調であり,用いるマイクロサテライト座位などの分析手法は確立でき,タイリクスズキの導入が最も多かった瀬戸内海周辺での分析も個体数を十分に多くすることができた.ただし,タイリクスズキとスズキの交雑個体と疑われる稚魚の採集報告がある高知県では,今年度は悪天候などのため,標本を収集することができなかった.
その他の魚種については,底性魚,遊泳魚の両方についていくつかの魚種の分析ないし分析準備を進めることができている.

今後の研究の推進方策

スズキ属に関しては,タイリクスズキの導入実績および現存個体数の多い瀬戸内海西部を中心に,十分な個体数を用いて分析を行ってきたが,現在のところタイリクスズキからスズキへの遺伝的攪乱は確認されていない.次年度は,タイリクスズキとスズキの交雑個体と疑われる稚魚の採集報告がある高知県においての標本収集を再度試み,スズキ属における現況を明らかにする.
その他魚種についても,特にコノシロを中心に,今まで着手している魚種の標本収集および分析を進める.可能であれば,さらに対象種を増やすことも試みる.
得られた結果を総合し,海産魚における外来種による遺伝的攪乱の現況と,将来的な可能性について検討する.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度には高知県でのスズキ属標本収集を試みたが,台風による悪天候で十分な採集ができなかった.このため,予定していた分析試薬費などに一部繰り越しが生じた.平成25年度に再度採集を行い,当初予定通りの分析を進める.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Population structure and sequence divergence in the mitochondrial DNA control region of Gizzard shad Konosirus punctatus in Korea and Japan2013

    • 著者名/発表者名
      WS Gwak, DH Han, K Nakayama
    • 学会等名
      9th Indo-Pacific fish conference
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター
    • 年月日
      20130624-20130628
  • [学会発表] アカシタビラメとデンベエシタビラメの遺伝的比較2012

    • 著者名/発表者名
      田路拓人・中山耕至
    • 学会等名
      日本魚類学会
    • 発表場所
      下関市水産大学校
    • 年月日
      20120921-20120924

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公開日: 2014-07-24  

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