国外から養殖などのために移入される魚類種苗は日本在来魚に遺伝的撹乱などの悪影響を引き起こす可能性があるが,淡水魚と異なり海産魚ではその危険性や現状についてほとんど調査がなされていない.本研究では,これまでに移入された海産魚のうち,自然海域への散逸量の多いタイリクスズキについて,在来のスズキへの遺伝的影響が生じているかどうか調べた.その結果,高知県では移入タイリクスズキと在来スズキの間の交雑に由来すると推定される個体が確認され,海産魚においても外来魚の導入に際しては在来魚との遺伝的差異や交雑可能性などについて十分な検討が必要なことが示された.
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