研究課題
赤潮は発生海域の多様な生物を斃死させる事は古くから知られているが、その毒性機構の詳細は未だ不明である。赤潮の原因生物は微細祝物プランクトンであるが、その種類は多様であるのに加え、それらの毒性機構も多種多様であり、その解明を困難にしている一因となっている。また、赤潮毒性研究には、これまで、魚や貝類など海洋生物を用いた方法が主流であった。しかしながら、これら海洋生物の飼育には特別な施設が必要であることや操作の煩雑さ、さらに再現性に乏しい等の問題が指摘されている。従って、赤潮原因生物の毒性を調べるより簡便な方法の開発が求められている。本研究では、赤潮生物の毒性を解析するための、通常の実験室でも対応できる高感度でしかも簡便なマイクロバイオアッセイ法の確立とその有効性の検証を目的として、多面的取り組みを実施している。本研究では、特に毒性が強い赤潮原因種であるシャットネラ、カレニア・ミキモトイ、ヘテロカプサ・サーキュラリスクアーマを対象としたマイクロバイオアッセイ法開発に取り組んだ。これまでに実施した種々の動物種の赤血球に対する溶血活性、ワムシやアルテミアなどの動物プランクトンに対する毒性、海洋細菌(ビブリオ属)に対する毒性試験に加え、本年度は特に動物培養細胞をターゲットとして赤潮プランクトンの直接暴露での毒性検定法開発に取り組んだ。ブリ鰓由来上皮細胞やVero細胞に加え、ニジマス鰓由来細胞も導入し、検討した。その結果、調べた赤潮プランクトンの内、カレニア・ミキモトイが特に強い細胞毒性を発現する事がわかった。以上の結果は、赤潮研究、特にその毒性機構解明にマイクロバイオアッセイ法は有効性を示すことがわかった。
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