研究課題
本研究では、様々な細胞生理学の手法を取り入れて、水酸化マグネシウムや酸化チタンなどの赤潮駆除剤としての殺滅機構とシストの発芽抑制機構の解明に取り組み、効果の向上を目指している。今年度は昨年度に引き続き、赤潮の現状把握と赤潮生物の分離ならびにシストの検出のための現場調査と室内実験による栄養細胞の赤潮駆除剤による殺滅効果の検証を行った。現場調査は東町と山川湾で実施した。今年度も東町ではChattonella marinaの検出はみられたものの、赤潮を形成するまでには至らなかった。その原因については、水温上昇が平年に比べ遅くなったことと、昨年度と同様に珪藻類が優占したために、栄養塩の取り込みに競合が起こり、赤潮生物が優占できなかったものと推定した。一方、山川湾ではシュードシャトネラの赤潮の発生がみられた。このため現場よりこれらの原因株を分離し、DNA解析を行った結果、既存のシュードシャトネラに近縁であることが分かった。またここでは底泥中のDNA解析の結果、シスト由来のDNA の確認も可能にした。室内実験においては、東町と山川湾の底泥からシストを分離し、その発芽抑制実験を行った結果、過炭酸ナトリウムや水酸化マグネシウムに抑制効果がみられた。今回分離した山川湾のシュードシャトネラの栄養細胞にに対する過酸化カルシウム、過炭酸ナトリウムの運動阻害効果とその添加量の検討を行った結果、いずれの薬剤においても約0.1 g/lの低い濃度で、約30分以内に殺藻効果が現れることがわかった。とりわけ、過炭酸ナトリウムに高い効果が見られた。今回の研究によって、赤潮駆除に関する知見は大いに前進したものと考えている。今後は、現場への応用をいかに安価にかつ効果的に運用する研究が必要であると考える。
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