研究課題/領域番号 |
23580259
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
本村 浩之 鹿児島大学, 総合研究博物館, 教授 (90433086)
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キーワード | 国際研究者交流 オーストラリア / 国際研究者交流 フランス / 国際研究者交流 ハワイ |
研究概要 |
マダラフサカサゴ属は形態的に6つの類似種群(species complex)で構成される.初年度は最も種数が多く,最も古く記載された名義種を含むSebastapistes strongia complexの分類学的研究を行った.Sebastapistes strongia complexは涙骨下縁に2棘があり,そ の後方棘が単尖頭であること,額棘がないこと,眼下骨隆起が1本であること,および口蓋骨がないことなどによって特徴付けられる.今年度はマダラフサカサゴ属の残りの5類似種群の調査を行うと同時に,未記載種を記載する.5類似種群(S. coniorta species complex,S. cyanostigma species complex,S. fowleri species complex,S. mauritiana species complex,S. pascuensis species complex)はそれぞれ有効種1~2種で構成されS. strongia species complexと比べると比較的小規模な種群である.最も名義種が多いS. cyanostigma species complexは1有効種でScorpaena albobrunnea Gunther, 1874,Scorpaena kowiensis Smith, 1935,Scorpaena aqabae Fowler and Steinitz, 1956の3名義種が新参シノニムであることが明らかになった.また,日本とモルジブから採集された標本が未記載種であることが分かった.これらの調査を遂行中にマダラフサカサゴ属以外の属からも新知見がみつかり,随時論文として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」とその「研究実施計画」のとおりにおおむね順調に進展している.しかし,いくつかの稀種のDNA分析用サンプルを収集することができておらず,次年度の調査に期待する(ただし,これは努力だけではどうにもならず,運が必要である).稀種は解析に必修ではないが,あればより良いデータが得られる.
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今後の研究の推進方策 |
本属の一般標本を多数有している海外の博物館を訪問し調査を行い,平成23年度,24年度の研究で得られた結果を合わせて,インド・太平洋域におけるマダラフサカサゴ属魚類の分類学・生態学的モノグラフ(英文)の出版に全力を尽くす.モノグラフに図付きの種検索表を付加することによって,一般漁業者,水産従業者および海洋生物研究者が容易に,そして正確に種を同定することができるようにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はマダラフサカサゴ属の一般標本が多数保管されているアメリカとヨーロッパの博物館を訪問し,学名の決定を行う.また,インドネシアやフィリピンの研究者を短期間招へいし,長期的にDNA用サンプルの現地での採集をお願いするために採集や固定の方法を教授する.旅費以外では,成果が得られたグループから随時論文を公表するため,英文校閲費や出版費として使用する.
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