研究課題/領域番号 |
23580261
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
宮台 俊明 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (20157663)
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研究分担者 |
末武 弘章 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (00334326)
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キーワード | 口白症ウイルス |
研究概要 |
トラフグの口白症ウイルスのゲノム解析を行った。 当該ウイルスの分類は定まっていない。研究開始時には、C型肝炎ウイルスに近縁のウイルスであると類推していた。そこで、同ウイルスおよびその近縁ウイルスのゲノムに保存されている塩基配列が口白症ウイルスにも存在しているかどうかを検証したところ、存在していないことがわかった。 そこで、24年度では、塩基配列未知のウイルスゲノム検索法を導入し、数百にものぼる塩基配列クローンを得て、その中からゲノムデータベースと照合してウイルスゲノム候補の塩基配列を3個確定した。この塩基配列はRNAであり、口白症に感染した個体にのみ発現していた。 現在、この配列がウイルス粒子由来なのかどうか、1本鎖か2本鎖か、を調べ、さらに、全長ゲノムの解読に向けて研究を続行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トラフグの口白症ウイルスの全ゲノム解読を目指している。 研究開始時、口白症ウイルスはC型肝炎ウイルスに近縁のウイルスと予測していた。そこで、初年度には、同ウイルス、およびその近縁ウイルスのゲノムに保存されている塩基配列が口白症ウイルスにも存在するかどうかを検証した。その結果、そのような配列は存在しないことが判明した。 当初の予測が成立しなかった場合の措置として、未知ウイルスゲノム解析法の導入を計画していた。結果として、この方法を採用することになった。平成24年度は、この方法を採用したことによって、RNA由来の3つのクローンを得ることに成功した。 平成25年度は、この配列がウイルス粒子中に存在するいわゆるゲノムであるのかどうかを検証する。さらに、全長配列の特定に向けて研究を続行する。現在、予測全長の1/30程度の塩基配列しか得ていないが、断片とは言え、一度ウイルスゲノム候補由来の塩基配列が判明すれば、その配列を足がかりにできるため、解析は急速に進展するはずである。 以上の事由により、研究の進展度合いは、おおむね順調と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終目標は口白症ウイルスの全ゲノム解読である。 最短で目標に達するコースは、既知ウイルスゲノムと同じ配列が保存されている場合であった。しかし、そうではないことが判明したため、最短のコースをたどることは不可能となった。次善の策として採用した未知ウイルスゲノム探索法により、ゲノムの一部と考えられるRNAを探り当てることができたため、研究は一気に前進する、と考えている。 今年度は最終年度であり、上記の成果を足がかりにして、さらにゲノムの塩基配列解読を進める。予測している塩基長は100Kbである。一方、現在までに得られた配列は3Kb強に過ぎない。全塩基長を解読するためにはこの1年という期間はやや短いと予測される。 そこで、次の手段として次世代シーケンサーを用いた網羅的塩基配列決定法を導入して、課題を達成させるための時間短縮を図りたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記に述べたように、次世代シーケンサーの導入を考えている。そのために必要な研究費は数百万円と見込んでいる。当科研費の交付額は今年度60万円であるため、これはすべて消費し、次年度に向けてさらに研究費の申請を行う予定である。
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