研究課題
ゲノムの解析が進展しないため、分類がなされていないトラフグの口白症ウイルスのゲノムをクローニングし、どのウイルスに属するかをを確定することを本研究の目的とした。本ウイルスはフラビウイルスの形体および物理化学的性状に類似していたため、フラビウイルスおよびその近縁のトガウイルスのユニバーサルプライマーを用いてRT-PCRを行った。しかし、用いた20組のプライマーによって特異的に増幅する配列は得られなかった。そこで、網羅的に未知のウイルスゲノムをクローニングする方法として、Rapid determination system for Viral RNA (RDV)を試みた。これは、核酸の両端の塩基配列が数塩基一致していればPCR増幅できるようなプライマーの組み合わせを作製してゲノムの増幅を行うものである。すでに、本法を用いた研究者はいくつものウイルスゲノムのクローン化に成功している。実験を遂行した結果、約1000塩基のRNA断片を3クローン得ることに成功した。この配列は口白症に感染した脳と脊髄に高発現し、病態の進行に伴い発現量が増加することから、口白症ウイルスゲノムあるいは少なくとも口白症関連RNAである。全ゲノムを解読するためには、次世代シーケンサーによる網羅的解析が必要である。
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