研究課題/領域番号 |
23580262
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
藤田 敏明 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30396311)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 卵形成 / 卵膜形成 / コリオジェニン / ZP / 魚類 |
研究概要 |
サクラマス卵膜は主に肝臓で合成される前駆蛋白で構築されるが、卵巣でも同時に2種類の卵膜蛋白(zona pellucida protein BおよびC;ZPBおよびZPC)遺伝子が発現している。しかし、本種ZP遺伝子および蛋白の卵巣における局在や発現動態は、明らかにされていない。本年度はこれら卵巣由来の卵膜蛋白の局在を明らかにすることを目的とし、サクラマス卵巣のin situハイブリダイゼーション(ISH)および免疫組織学的観察(IHC)を行った。サクラマス1年魚雌から提出した卵巣片は常法に従ってパラフィン包埋し、6μm切片を作製した。ZP遺伝子の局在は本種ZPBおよびZPC遺伝子を基に作製したDIG標識RNAプローブを用いたISHにより検出した。一方ZP蛋白の局在は組換えZP蛋白に対する抗体(a-recombinant masu ZPBおよびZPC;a-rmZPBおよびa-rmZPC)を用いたIHCにより観察した。使用した卵巣組織片をヘマトキシリン―エオシン染色したところ、卵巣内には後期卵黄胞期もしくは初期卵黄球期の卵母細胞および初期卵黄胞期の卵母細胞が観察された。ZPBならびにZPC遺伝子の発現は、発達の進んだ卵母細胞および体細胞(濾胞組織・結合組織)には全く認められず、初期卵黄胞期(卵径200μm以下)の卵母細胞質のみに観察された。IHCでは、卵巣組織全体にわたる非特異と思われる染色が認められたものの、初期卵黄胞期の卵母細胞質にはa-rmZPBおよびa-rmZPCの両者に対する比較的強い染色が認められた。以上の結果より、サクラマスZP遺伝子は卵黄形成期以前の卵母細胞特異的に発現し、mRNAの転写と蛋白への翻訳は同時に起きることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
n situハイブリダイゼーションの結果より、ZP遺伝子の局在が明らかにできた。しかし、免疫組織学的観察では非特異染色が認められたため、抗体を吸収するなどの特異性を向上させる条件検討が必要であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従ってコイにおけるChg遺伝子および蛋白の検索を行う。一方で、H24年度計画が順調に進んだ場合は、サクラマス卵巣の免疫組織観察の条件検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定に従って、プライマー、抗体、キットなどの実験消耗品を中心に使用する。
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