コイ科魚類のアブラハヤ雌が排卵時に吻部が伸長し潜砂行動により産卵を行い、その現象には生殖腺刺激ホルモン(GTH)が関与する可能性をin vivoおよびin vitro投与実験によって示した. 吻部の上皮組織内の結合組織は、繊維芽細胞と非定形物質で構成され、排卵雌の繊維芽細胞の密度は低くなり、結合組織に占める非定形物質の割合が高くなることが判明した. 吻部の含水率の測定より、組織中の水分が増加していることからこの非定形物質は水分を主成分としていることが示唆された. 以上のことから、排卵時に分泌されるGTHが直接吻部に作用し、吸水現象を介して吻部の伸長を促していることが明らかとなった.
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