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2012 年度 実施状況報告書

有害渦鞭毛藻シストの休眠および発芽の誘導・制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23580272
研究機関独立行政法人水産総合研究センター

研究代表者

坂本 節子  独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (40265723)

キーワード有害有毒プランクトン / シスト / 発現遺伝子 / 休眠 / 発芽 / 生活史
研究概要

有害渦鞭毛藻の出現動態は,栄養細胞や休眠接合子(シスト)などの機能的に分化した細胞が環境の変化に応じて出現する生活史によって大きく変化する。本研究は,これまで現象の観察に止まっている渦鞭毛藻の生活史の制御機構の解明を目指すものであり,特にシストの休眠から発芽の過程で特異的,差次的に発現する遺伝子を特定し,シストの休眠および発芽の誘導・制御機構を明らかにすることを目的としている。
本年度は, 昨年度に引き続き, 有毒渦鞭毛藻Gymnodinium catenatumの栄養細胞とシストのそれぞれの細胞から得られたcDNAを基に,ランダムプライマーを用いてPCR増幅し,得られた産物のディファレンシャルディスプレイ法(DD法)を実施した。得られた増副産物のうち,シストのcDNAから得られた増副産物について,プラスミドベクターを用いてクローニングした後,DNAシーケンサーで塩基配列を解析した。得られた塩基配列のBLAST検索により,新たに真核生物被子植物であるSilene latifoliaのmetal transporterタンパク質と比較的高い相同性を示す配列(E-valu 2e-08,相同性55%)が得られた。しかし,得られた配列のほとんどはデータベースの配列との相同性が認められないか,相同性が低く配列長が短い(100 bp以下),機能不明な遺伝子であることがわかった。
次に,シストの発芽を誘導して経時的に得られた2つの試料について,これまでと同様の方法でcDNAを得たのち,ランダムプライマーを用いて得られたPCR増副産物のDD法を実施した。しかしながら,得られた増副産物が少なく,明確に差次的に発現していると判断できる遺伝子を得ることができなかった。今後さらに,PCR増幅に用いるプライマー配列の変更により,得られる増副産物を増やす工夫が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、昨年度に引き続きシスト期に特異的に発現している遺伝子のPCR増幅断片の解析を進めることができたが、当初計画していたシスト期の発芽過程における各段階で特異的に発現する遺伝子の解析や外的休眠を誘導したシスト細胞の解析までには至らなかった。要因として、異なる環境条件下においたシストのcDNAライブラリーを作製するために必要なシストが十分量得られなかったこと、ディファレンシャルディスプレイ法で明確に差次的に発現していると判断できる遺伝子をほとんど得ることができなかったこと、得られた遺伝子のクローニング等の作業に時間がかかり当初計画していたほど遺伝子配列解析が進まなかったことがあげられる。

今後の研究の推進方策

当初の計画では、次年度は溶存酸素濃度の変化等により外的休眠を誘導したシスト試料を調製して、cDNAライブラリーを構築し、休眠に関与する発現遺伝子の解析を進める予定であった。しかしながら、研究の進捗が当初の計画より遅れてきていることから、計画を変更し、新たなことは始めず、まだ十分なデータが得られていない”シスト期の各生活史段階で特異的に発現する遺伝子”の解析に集中して研究を進めたい。これにより発芽の過程で経時的に発現する遺伝子を明らかにし、発芽過程の制御機構の解明を目指したいと考えている。また、その際、配列解析については一部、分析の外部委託を利用することにより解析の速度を上げ、より多くのデータが得られるようにしたい。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

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公開日: 2014-07-24  

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