研究課題/領域番号 |
23580273
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
奥澤 公一 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 主幹研究員 (00211813)
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研究分担者 |
風藤 行紀 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 主任研究員 (60399996)
玄 浩一郎 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 主任研究員 (80372051)
田中 秀樹 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, グループ長 (00372029)
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キーワード | 生殖腺刺激ホルモン / 濾胞刺激ホルモン / 黄体形成ホルモン / マダイ / 初回成熟 / puberty / 組換えホルモン |
研究概要 |
最終年度は、魚類の初回成熟における生殖線刺激ホルモン(GTH)の役割を解明するため、GTH投与によるマダイの初回成熟誘導を試みた。実験に必要な2種類のGTH(FSHとLH)を作製するため、マダイFSHおよびLHをほ乳類の培養細胞で恒常的に発現する細胞株を樹立し、これらの細胞の培養液各約10Lから30mgのFSHと65mgのLHを作製した。 マダイの産卵期に、初回成熟前の体重600~900gのマダイを用いて、作製した組換えFSHまたはLH、2mg/尾をリン酸緩衝液に溶解し、浸透圧ポンプに入れマダイの腹腔内に投与した。この方法で約0.1mg/日のホルモンが魚に供給される。対照群としてリン酸緩衝液を同様に投与した。同時に、マダイの初回成熟誘導に有効なことが知られている生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログをコレステロールペレットにしてマダイの背筋中に埋め込んだ。各実験区雌雄合わせて10個体を用いた。投与から2週間後に魚を解剖し生殖腺の発達を調べたところ、FSH、LHいずれの投与区においても対照区との差は認められなかった。一方LHRHアナログを投与した個体では著しい生殖腺の発達が観察された。昨年度の成果によりLHRHアナログはマダイではLHのみを分泌させることが解明されている。今回の実験ではホルモンの投与量が十分ではなかったことも考えられる。 研究期間全体を通じ、これまで不可能だったマダイFSHの測定が可能になり、マダイではLHRHはLHのみを分泌させFSHを分泌させないことを明らかにした。LHRHはマダイの雌に初回成熟を誘起できるので、マダイ雌ではLHのみで未熟な状態から完全に成熟するまでの過程を誘起できることになる。今後はこの様な現象が他の魚種にも当てはまるのかについて検討が必要である。
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