研究課題/領域番号 |
23580275
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
関 秀司 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (10179327)
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キーワード | ヨウ素低減 / 食用海藻 / 競争吸着法 |
研究概要 |
申請時に掲げた平成24年度の到達目標は「ヨウ素除去率90%以上を目標値とした競争吸着法によるヨウ素低減化プロセスのシミュレーションと実証試験による検証」であり,これに対して以下のような実績を挙げた。 (1)H23年度の研究成果から,競争吸着過程において塩化カルシウムを添加することによってマコンブからのアルギン酸の溶出を抑制できることがわかったが,塩素イオンが陰イオン交換樹脂へのヨウ素イオンの吸着を妨害するため,これをイオン交換反応モデルに修正して実験結果の解析を行った。その結果,イオン交換反応の選択係数16.6とイオン交換容量2.1 mmol/gが得られ,これらのパラメータを用いて塩素イオン濃度が0から0.06Mの範囲の実験結果がモデルによるシミュレーション結果によく従うことを明らかにした。 (2)H23年度の研究において予想以上の大きな課題として残されていた「競争吸着過程におけるマコンブ重量の約40%の損失」という問題に対して,スクロースまたはマンニトールを20%添加することにより,重量損失を5%以下に抑制できることを明らかにした。 (3)マコンブ(養殖1年物)乾燥重量に対して50%の陰イオン交換樹脂,20倍量の0.25M塩化カルシウム+20%マンニトール溶液を用いて競争吸着処理(15分間)を行うことにより,ヨウ素除去率95%以上,重量損失率5%以下を達成できることを明らかにした。また,競争吸着に用いた溶液を繰り返し使用することが可能で,これによって風味の低下を抑制できる可能性があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時に掲げたH24年度の到達目標は「ヨウ素除去率90%以上を目標値とした競争吸着法によるヨウ素低減化プロセスのシミュレーションと実証試験による検証」である。これに対して,マコンブ(養殖1年物)について95%以上のヨウ素除去率を達成した。また,陰イオン交換樹脂によるヨウ素イオンの競争吸着過程を塩素イオンとのイオン交換反応モデルを用いて解析することにより,シミュレーションに不可欠な選択係数とイオン交換容量を決定し,モデルによるシミュレーションが可能であることを示した。 さらに,申請時の到達目標を超える以下の成果が得られた。 (1)競争吸着過程において20%マンニトール溶液を使用することにより,マコンブの重量損失を無添加時の約40%から5%以下に低下させることに成功した。 (2)競争吸着法に使用した溶液を繰り返し使用することが可能であり,これによってマコンブの風味の低下を抑制できる可能性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点までの研究が順調に進行していることから,H25年度は当初の研究計画の通り,H23年度と24年度の研究成果を基に以下の研究を推進する予定である。 (1)H23年度と24年度の研究結果に基づいて流通式ヨウ素低減装置を設計・製作し,段階的なスケールアップを図る(25年度目標)。 (2)マコンブ(養殖2年物),利尻コンブ(天然物),三石コンブ(天然物)等について競争吸着法によるヨウ素低減実験を行った結果,マコンブ(養殖1年物)に比べてヨウ素の溶出速度が遅く,ヨウ素除去率が70~80%程度であったことから,処理時間を延長することによりヨウ素除去率の向上を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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