研究課題/領域番号 |
23580283
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高谷 智裕 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (90304972)
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研究分担者 |
荒川 修 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (40232037)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 交雑フグ / フグ毒 |
研究概要 |
本研究は、近年,混獲により水揚げされる交雑フグの判別と安全性について一部で問題視されていることから,自然交雑フグの種同定を父系・母系の両起源種について遺伝的解析等により行うとともに,フグ毒の組織分布を調べ,交雑フグの毒蓄積分布と交雑起源種(両親魚種)の毒蓄積との遺伝的関係について明らかにすることを目的としている。23年度においてはまず、自然交雑フグの漁獲状況の調査を行い、得られた交雑フグの交雑起源種の同定を連携研究者である望岡らの遺伝的解析手法を用いて行った。その結果、20個体の交雑フグが入手され、マフグ(♀)-トラフグ(♂)、トラフグ(♀)-マフグ(♂)、シマフグ(♀)-トラフグ(♂)、マフグ(♀)-ゴマフグ(♂)、トラフグ(♀)-ゴマフグ(♂)の5種の交雑個体であることが判った。これまで父系種の判別が困難であったが、本手法により全個体の父系種を同定することに成功した。次に、交雑フグの組織別毒性について検討したところ、全体的に雌個体の方が毒性が強く、その毒の組織分布は両親種のそれを遺伝している傾向が見られた。しかし、中には無毒部位とされる筋肉や皮膚から規制値(10 MU/g)を超える毒性が見られる個体も見られ、今後さらに調査する必要があると思われた。交雑フグの毒蓄積能力を精査するために、純系種フグを人為的に交配させ、人工交雑フグを作出することを試みた。今回はトラフグ(♀)とマフグ(♂)を用いて連携研究者である鈴木の協力により人工交雑フグ(トラマ)の作出に成功した。本人工交雑フグに対し人為的にフグ毒(TTX)を投与しフグ体内におけるTTXの動態についても検討した。その結果、マフグの特徴である皮膚にTTXが蓄積することや、両種とも無毒部位である筋肉や精巣には毒が移行しないことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連携研究者の協力により、交雑フグの入手ができたことや、種同定が成功したこと、人工交雑フグの作出に成功したことなどが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き天然交雑フグの毒性調査を行うとともに、新たな人工交雑フグの作出にも取り組む。人工交雑フグについては、両親種の雌雄を代えたもの(ex.クサトラ、トラクサ)を作出し、毒の蓄積能や形態などが両親種のどちらの遺伝が強いか検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
試料として天然交雑フグや人工交雑フグ作出用の天然親フグを購入する。毒性試験用に実験動物(マウス)、化学分析用の薬品類、TTX標準試薬等の購入を予定している。得られた成果を公表するために、学会へ参加するための国内旅費を使用する予定である。
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