研究課題/領域番号 |
23580283
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高谷 智裕 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (90304972)
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研究分担者 |
荒川 修 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (40232037)
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キーワード | 交雑フグ / フグ毒 |
研究概要 |
本研究は、近年、混獲により水揚げされる交雑フグの判別と安全性について問題視されていることから、自然交雑フグの種同定を父系・母系の両起源種について遺伝的解析等により行うとともに、フグ毒の組織分布を調べ、交雑フグの毒蓄積分布と起源種(両親魚種)の毒蓄積との遺伝的関係について明らかにすることを目的としている。 24年度においては、クサフグ(♀)×トラフグ(♂)およびトラフグ(♀)×クサフグ(♂)を用いて人為的に交配して作出した2種の人工交雑フグ(クサトラ、トラクサ)につき、フグ毒(テトロドトキシン;TTX)投与試験を行い、組織中のTTX分布について比較した。その結果、両者とも皮膚、肝臓、卵巣においてTTXの分布が見られた。また、トラクサ(トラフグ(♀)×クサフグ(♂))の精巣にはTTXが見られなかったのに対し、クサトラ(クサフグ(♀)×トラフグ(♂))の精巣からはTTXの存在が確認されたことから、フグ毒の蓄積については母系遺伝が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度においては、人工交雑フグを作出し、これを用いた毒化モデル試験を行い、交雑フグにおけるフグ毒の体内動態を探ることが目的であった。平成24年度においては、トラフグ♀とクサフグ♂から交配・作出したトラクサおよびクサフグ♀とトラフグ♂から交配・作出したクサトラを生産することができた。この両個体を用いた毒化モデル試験を行ったところ、両者の体内毒分布に違いが見られたことから、毒の蓄積には親魚の蓄積機能が影響することが推察された。 当初の計画では、TTX投与した個体の長期飼育試験も行う予定であったが、生産した交雑個体の数が少なかったことから、注射投与による短期飼育試験のみを行った。 以上の点から、平成24年度の研究の達成度を評価したところ、概ね進展していると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は自然交雑フグ試料の入手がほとんどできず、自然交雑個体の毒蓄積データが得られなかったことから、引き続き天然交雑個体の入手に取り組み、毒蓄積のデータを得たい。また、24年度とは別種の交雑個体を作出し、毒蓄積能や形態などについて評価していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
天然交雑フグおよび両親種(純系フグ)の購入 毒性試験用実験動物(マウス)や化学分析用の試薬類、TTX標準品の購入 学会での成果報告および論文印刷費用への使用を計画している。
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