研究課題
H25年度においては、人工交雑フグ(トラフグ・♀とマフグ・♂)を作出し、その毒蓄積能を精査した。また、その親魚種である天然トラフグおよび天然マフグについて毒蓄積部位と毒性を調査した。本人工交雑フグ(8ヶ月齢)に対し人為的にフグ毒(TTX)を2つの異なる方法(経口投与および筋肉内注射投与)で投与しフグ体内におけるTTXの動態について比較検討した。その結果、両投与方法とも投与後血液を介し速やかに各部位へ移行し、主に肝臓へ、次いで皮に蓄積が見られた。また、卵巣への毒の移行が見られたのに対し、精巣への移行はほとんど無かった。天然純系種親魚の毒性を見たところ、トラフグでは卵巣の毒力が最も高く(<3~250 MU/g)、次いで肝臓に高濃度の蓄積が見られた。一方、マフグでは肝臓の毒力が最も高く(110~3530 MU/g)、卵巣や皮にも高濃度のTTXの蓄積が確認された。また、精巣からも毒の蓄積が確認された。また、交雑フグの形態的特徴を純系種と比較したところ、全ての交雑個体において体表には小棘を、体側には黄色縦帯を有していた。小棘は純系トラフグのそれと比べ小さく、出根数も少なかった。以上の結果から、交雑個体は両親種の中間的な特徴を示すことが推察され、毒の蓄積に関しては母親の特徴を示す傾向が見られた。
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食品衛生学雑誌
巻: 54 ページ: 128-133
Toxicon
巻: 65 ページ: 76-80