研究概要 |
種々のポリフェノール標品、すなわち茶カテキン、プロトカテク酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、没食子酸プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸をそれぞれ10mM含む中性リン酸緩衝液中にネオサキシトキシン(neoSTX)またはデカルバモイルサキシトキシン(dcSTX)を10μMとなるように添加して、37℃で30分間インキュベートし、毒濃度の経時変化を調べた。これら11位還元型の麻痺性貝毒成分を酸化分解する活性は、茶カテキン、没食子酸ならびに没食子酸プロピルが最も高く、プロトカテク酸や2,5-ジヒドロキシ安息香酸がこれに次ぎ、2,4-、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸およp-ヒドロキシ安息香酸には活性がほとんど確認できなかった。以上の結果からベンゼン環上に複数のヒドロキシル基がオルトもしくはパラ位に配置する成分が上記毒成分を消去する能力を持つと考えられた。 没食子酸を含む水溶液中でdcSTXの分解活性のpH依存性を調べたところ、中性水溶液中で活性が確認されたのに対して、pH5以下の弱酸性条件下ではdcSTXの分解は確認されなかった。
|