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2014 年度 実績報告書

ゲーム理論による農民参加型灌漑管理組織の持続可能性条件の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23580287
研究機関北海道大学

研究代表者

近藤 巧  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40178413)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード灌漑システム / ネパール
研究実績の概要

ネパール統計局のNepal living standard surveyを用い、傾向スコアマッチング法によって、ネパールの馬鈴薯と野菜について灌漑の効果を明らかにした。灌漑は、乾季の馬鈴薯や野菜作の作付けによって農業所得を高めることが明らかになった。また、ゲーム理論に依拠しながら、小規模重下式灌漑システムの維持管理問題について分析した。灌漑システムの維持管理や水配分問題は、囚人のジレンマゲーム、チキンゲーム、保証ゲームに大別できる。このような非協力ゲーム理論は、農家間の協力関係の形成を説明できるため、灌漑システムの維持管理の分析に適している。本研究の事例調査から示唆される点は以下のとおりである。①ゲームの利得構造を変えることによって、農民同士の協力解を得られる可能性あることが明らかになった。すなわち、ゲームの構造を変えることが重要なのだが、では一体、誰がこの条件を変えるのかということが問題になる。政府系の第三者機関が想定されがちであるが、農民参加型の灌漑組織であるならば、結局、農民同士がお互いにモニターし、ルールを守らないものに対しては制裁を加える仕組みが必要だという点で振り出しに戻ってしまう。②水利組織が有効に機能していない灌漑システムでは、上下流間の水配分、維持管理費用の負担は、チキンゲームの構造をとりながら、下流農家の費用負担によって、システムが維持されているのではないかということが推察された。これは、オストロムらが提示している共有資源管理の成功条件の1つであるコングルエンス条件と必ずしも整合性を有していない。これは、新しい論点であり、さらなる実証分析が必要である。③灌漑システムがチキンゲーム型の利得構造であれば、下流農家だけで灌漑システムを支えきれなくなったとき、灌漑システムそのものが、持続不可能となる危険性がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Agricultural Productivity Growth and Improvement of Household Food Security in Nepal2015

    • 著者名/発表者名
      Morioka M., Kondo T.
    • 学会等名
      The 11th International Convention of the Western Economic Association International
    • 発表場所
      Bay Plaza Hotel(Wellington, New Zealand)
    • 年月日
      2015-01-08 – 2015-01-11
  • [学会発表] The Impact on Household Income of Cultivating Cash Crops in the Dry Season in Nepal: A Propensity Score Matching Analysis2014

    • 著者名/発表者名
      Danno K., Kondo T.
    • 学会等名
      The 14th International Convention of the East Asian Economic Association
    • 発表場所
      Chulalongkorn University(Bangkok, Thailand)
    • 年月日
      2014-11-02 – 2014-11-02

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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