研究課題/領域番号 |
23580288
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
朴 紅 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80312396)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 中国 |
研究概要 |
平成23年度の調査研究計画では、大陸半島部・沿海部に関わる補足調査として、中国山東省青島地区の調査と韓国の調査を行う予定であったが、韓国の調査に関しては、研究のカウントパートの韓国の大学の教員が海外研究でアメリカとヨーロッパに長期出張のため、急遽、平成24年度に実施予定の中国の江南地域の調査を行った。調査は順調に運び、その成果としてすでに2つの研究論文にまとめた。1つは「蘇南地域における農村工業の転換と雇用吸収力」(『農経論叢』第67集、pp.73-81)、もう1つは「蘇南地域における農村企業の展開と出稼ぎ労働者」(同、pp.82-95)である。また、山東省青島地区の調査に関しては、万福食品ならびに北海食品という2つの食品企業の調査を予定通り行ったが、企業の集荷区域の村民委員会の調査に関しては、一部のみを行い、残りは次回に譲る。中国蘇南地域に関しては、まず、村の時系列データを蒐集加工することで、郷村企業から私営企業への転換のなかでの村民の雇用および支払賃金の動向を明らかにした。その結論は、雇用は継続し、農家経済における賃金収入割合は極めて高く、その雇用吸収力を維持しているということである。ただし、周辺農村や出稼ぎ労働者への依存度も高まっており、雇用に対する村民の優先権は失われていると言える。また、出稼ぎ労働者に関しては、織布工場においては出稼ぎ労働者の存在は補完的なものであり、しかも拡充の条件は縮小していること、セーター工場においては当初から出稼ぎ労働者の存在を前提として拡大が進んでおり、その確保が困難になった場合、その存立が難しいということが明らかとなった。出稼ぎ労働者の問題は、三農問題の理解においても、沿海部の発展の条件を考える上でもきわめて重要であるが、沿海農村における位置づけも重要であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に関しては、「研究実績の概要」で述べたように、若干の想定外の出来事があったが、柔軟に対応したため、その影響はほとんどなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、まず、計画通り中国東北における国有農場下の生産隊の性格に関する調査と北海道における地帯別の農村構造に関する調査を行う予定である。また、計画では平成25年度に行う予定の台湾の調査に関しても、一部を24年度に行う予定である。 23年度の研究費の使用状況としては、180万円のうち、113,164円の残金が生じた。これは韓国での調査を急遽中国に切り替えたため、両国の物価水準の格差で生じたものである。24年度には、80万円に前年度の残金を合わせると91万円の研究費となるが、中国、北海道、台湾の一部(2ヶ所のうち1ヶ所)の調査を行うには間に合うかと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
23年度の研究費の使用状況としては、180万円のうち、113,164円の残金が生じた。その理由は、韓国で実施する予定の調査を急遽中国に切り替えたため、両国の物価水準の格差で生じたものである。24年度には、80万円に前年度の残金を合わせると91万円の研究費となるが、中国、北海道、台湾の一部(2ヶ所のうち1ヶ所)の調査を行うには間に合うかと考えている。 特に、残金の113,164円に関しては、台湾と北海道調査の旅費として使用する予定である。
|