本研究は、フードシステム論的視点から日本における水産物の多様性の特質とその動向について明らかにし、水産物の多様性が維持されるためのフードシステムのあり方と課題について考察することを目的としている。日本の周辺漁場は生物生産性と生物多様性が高く、多種多様な生物を水産物として総合的に利用してきた。しかし、川上における漁業生産力の低下、川中における小売主導の市場構築、川下における消費低迷によって水産物の多様性が損なわれてきていることを明らかにした。こうした状況において漁村地域では未利用化・低利用化する水産物の地域消費や地元加工を促進する取組みが実施されており、その実態と課題について明らかにした。
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