研究課題/領域番号 |
23580297
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伊藤 亮司 新潟大学, 自然科学系, 助教 (70334654)
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研究分担者 |
清野 誠喜 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90225095)
宮入 隆 北海学園大学, 経済学部, 准教授 (40422018)
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キーワード | 農産物市場 / ローカルスーパー / 産地形成 / マーチャンダイジング |
研究概要 |
今年度は最終年ということもあり、やり残してきた他県およびアジア諸国(韓国)との比較研究を重視して調査を行った。まず国際比較としては、日本のローカル・スーパーの(ナショナルおよび多国籍スーパー)に対する優位性・すみ分けの成立要因は、日常用生鮮食品・農産物(惣菜等の中食を含む)における品ぞろえ・鮮度・価格および立地競争力(最寄性)であるとの結論を得た。これは、おそらく東アジア諸国のなかでは特殊であり、少なくとも韓国のローカル・スーパーでの調査からは、ローカル・スーパー側および消費者の認識として日常用生鮮食品・農産物の品ぞろえ・鮮度についての優位性の意識は低く、ナショナル・多国籍スーパーに対抗しうるマーチャンダイジング能力を備えようという意識よりは(商圏のすきまで)立地上のすみ分けを図ることが重視されており、端的にいえば「安かろう・悪かろう」の品ぞろえが基本となっていた。その分、ローカル・スーパー側には地元産地との連携や共同商品開発等への意欲は低く、地域内の優良農産物は逆に大手スーパーあるいは(農協ハナロマートを含む)農家直売へ流れる傾向が強かった。他方、日本のローカル・スーパーの場合、アジア諸国との比較では確かに、日常用生鮮食品・農産物の取り扱いにおいて、少なくとも大手に負けない調達力を備え、その中でも本研究が対象とした比較的高品質な品ぞろえを重視するローカル・スーパーの一群においては、ナショナル・スーパー等との差別化を意識して、それを上回る品質・鮮度・品ぞろえを確保することが至上命題となっており、そのためには地元産地との提携・共同製品開発が積極的にされており、特に地域特産品的な品目(じゅんさいやカシス・米粉などが典型)における差別化が重視されることがはっきりしてきた。このような状況は、園芸後進地である東北・北陸など過去2年間の調査対象以外の九州他でもある程度共通であった。
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