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2011 年度 実施状況報告書

農家の労働供給分析の新たな実証法と中国農家のマイクロデータへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 23580299
研究機関名古屋大学

研究代表者

園田 正  名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60329844)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード不均衡モデル / 中国の農家 / ミクロ計量分析 / マイクロデータ / 市場労働供給
研究概要

中国の農家がより多くの時間を賃金労働(市場労働)に配分して低所得を改善しない(できない)現状を理解するため,本研究は中国農家のマイクロデータを利用し,その原因を明らかにする実証法の提案を主な目的としている。本年度は,なぜ中国の農家の世帯主がもっと賃金労働に従事しないのかという問題に焦点を絞り,2002年の世帯所得調査(分析対象世帯数:6612)を利用してシンプルな不均衡モデルを推定した。このモデルでは,世帯主が賃金労働への参加・不参加を決定した上で,参加者は希望する時間だけ働けるか,雇用者の設定時間によって制限されるかを表現できる。不均衡モデルに関する従来の研究と比較すると,途上国の農家の現状に配慮して,世帯主が賃金労働へ参加するかどうかの決定を組み込んだ点が新たな試みである。その結果,経済発展が適度であるか遅れた地域では,幼い子供の数が少なく,成人した子供と同居しているため,そして野菜や畜産の生産活動において家族を手伝うため,世帯主は賃金労働に従事しにくいと推測された。経済発展が進んだ地域では,これらの要因に加え,依然として臨時的・季節的な労働者を需要する経済構造が根強く残っているため,希望時間だけ働けないことが,世帯主の賃金労働時間を制約していると推測された。他方,分析期間において景気要因は労働時間の制約要因としてさほど重要ではないと推測された。この結果を得る途中と原稿にまとめた段階で,ノースカロライナ州立大学のグッドウィン教授と意見交換した結果,中国における農家の労働供給分析として興味深く,整合的な結果が得られていることが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の主な目標は,世帯主の市場労働供給行動に関する不均衡モデルの推定法を考案し,中国農家のマイクロデータに適用して適切な結果を得ることであった。海外出張での意見交換を通じて,この目標はほぼ達成されたと考えている。

今後の研究の推進方策

当初の研究目的を達成するため,本年度は世帯主の賃金労働供給に分析を絞ったが,今後は世帯員間の労働供給の依存関係,賃金労働と農業労働との関係をモデルに取り入れながら,より興味深い成果を得られる実証法を考案していく。

次年度の研究費の使用計画

次年度への繰越額はない。

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公開日: 2013-07-10  

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