本研究は、地中海に面する北アフリカの諸国とヨーロッパの諸国との間で、どのような食料貿易が行われており、それが地元の食料生産にどのような影響を与えているかを明らかにした。アフリカではモロッコとチュニジアを選んだ。調査の結果、チュニジアでは、食用作物の小麦を増産するのではなく、輸出作物のオリーブを増産することで、小麦輸入を上回る輸出高を獲得していた。これは「環地中海」貿易圏を超えた小麦の輸入が旧東欧諸国との貿易で獲得できていた為である。モロッコではヨーロッパやアメリカとのFTAによって貿易を結び、不利な貿易状況にあった。いずれの場合も「環地中海連合」域圏の弱体化がみられた。
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