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2011 年度 実施状況報告書

米戸別所得補償制度の再設計に関する計量経済学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23580306
研究機関九州大学

研究代表者

前田 幸嗣  九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20274524)

研究分担者 鈴木 宣弘  東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80304765)
外園 智史  九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40611570)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード戸別所得補償制度 / 制度設計 / 環太平洋経済連携協定 / 計量経済分析
研究概要

本研究の目的は,米戸別所得補償制度の問題点を克服すべく,米戸別所得補償制度の再設計について計量経済分析を行うことであるが,本年度に入って,わが国が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加という大きな問題に直面したため,米戸別所得補償制度の再設計についても,このTPP参加問題を考慮した議論が行われるようになった.しかし,本研究では,当初,現行の貿易政策を所与とし,わが国のTPP参加問題をまったく考慮していなかった.そこで,本研究の目的を,TPP参加がわが国の米経済に与える影響を分析し,その上で,米戸別所得補償制度の再設計について計量経済分析を行うという形に,一部変更することにした.この変更により,本研究は,米戸別所得補償制度の再設計をめぐる現在の議論と整合的となり,より意義深いものとなった. 本年度の研究成果は,次のとおりである. 1.TPPが米貿易に与える影響を分析するために必要な政策シミュレーションモデルを空間均衡モデルとして構築した. 2.以上で構築した空間均衡モデルを利用して,政策シミュレーション分析を行った結果,TPPはわが国の米経済に大打撃を与えることが明らかになった. 3.米戸別所得補償制度の実態調査分析の結果,米戸別所得補償制度をTPP参加後に実施する場合,予算制約が制度の最大の問題となる可能性が高いことが明らかになった.つまり,以上の予算制約を考慮した米戸別所得補償制度のシミュレーション分析モデルを開発することが今後の課題であることが明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

米戸別所得補償制度の再設計をめぐる現在のTPP参加問題の議論と整合的となるよう,研究目的の一部を急遽変更したにも関わらず,研究分担者や連携研究者との連絡調整がスムーズであったため,本研究は概ね順調に遂行することができた. しかし,米戸別所得補償制度のシミュレーション分析については,具体的な計量分析を行うためのモデル構築までには至らなかった.ただし,モデル構築のための具体的課題は明らかにすることができたので,モデル構築は,構想段階から具体的な実施段階に現在移りつつあり,次年度初めにも完了する予定である.

今後の研究の推進方策

まず,本年度なしえなかった米戸別所得補償制度のシミュレーション分析モデルの構築を次年度初めにも完了する予定である.次に,交付申請書において,次年度予定している研究計画を着実に実行する予定である.なお,その際は,研究目的の一部を本年度変更したことが,研究の遂行に支障を来たすことがないか,十分に注意を払う予定である.そのためには,本年度の経験を活かし,研究分担者や連携研究者との連絡調整をスムーズに行うことが有効であろう.

次年度の研究費の使用計画

研究目的の一部を変更したために本年度使用しなかった消耗品費の一部を,まず次年度初めにも全額使用する予定である.次に,交付申請書において,次年度予定している研究費の使用計画を着実に実行する予定である.なお,その際は,研究の遂行時と同様,研究分担者や連携研究者との連絡調整をスムーズに行うことにより,研究目的の一部を本年度変更したことが研究費の使用に支障を来たすことがないか,十分に注意を払う予定である.

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 戸別所得補償制度下の生産調整と水田利活用の長期見通し2011

    • 著者名/発表者名
      前田幸嗣
    • 雑誌名

      食農資源経済論集

      巻: Vol.62 ページ: 15-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 戸別所得補償制度と貿易自由化2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木宣弘・木下順子
    • 雑誌名

      都市問題

      巻: Vol.102 ページ: 58-67

  • [雑誌論文] 品質格差を考慮したTPPの影響試算-米を事例にして-2011

    • 著者名/発表者名
      前田幸嗣
    • 雑誌名

      日本・中国・韓国農業経済シンポジウム資料集

      巻: 無 ページ: 1-9

  • [雑誌論文] 大震災とTPP問題-地域経済再生に向けた対案-2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木宣弘・木下順子
    • 雑誌名

      共済総合研究

      巻: 63 ページ: 8-37

  • [雑誌論文] 日本政府の対応と農水省・経産省の試算をどう見るか?-TPPをめぐる各種試算の再検討-2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木宣弘
    • 雑誌名

      農業と経済

      巻: 77 ページ: 40-47

  • [学会発表] TPPがわが国の米経済に与える影響-日本産米の差別化度の縮小に着目した計量分析-2012

    • 著者名/発表者名
      前田幸嗣
    • 学会等名
      日本農業経済学会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2012年3月30日
  • [学会発表] 国際環境変化の下での地域農政のあり方2011

    • 著者名/発表者名
      前田幸嗣
    • 学会等名
      食農資源経済学会(招待講演)
    • 発表場所
      長崎市JA会館
    • 年月日
      2011年9月17日
  • [学会発表] 品質格差を考慮したTPPの影響試算-米を事例にして-2011

    • 著者名/発表者名
      前田幸嗣
    • 学会等名
      日本・中国・韓国農業経済シンポジウム(招待講演)
    • 発表場所
      宮崎観光ホテル
    • 年月日
      2011年10月28日
  • [図書] TPPと日本の国益2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木宣弘・木下順子
    • 総ページ数
      107
    • 出版者
      大成出版社
  • [図書] よくわかるTPP48のまちがい-TPPが日本の暮らしと経済を壊すこれだけの理由-2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木宣弘・木下順子
    • 総ページ数
      119
    • 出版者
      農山漁村文化協会
  • [図書] 震災復興とTPPを語る-再生のための対案-2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木宣弘・木下順子
    • 総ページ数
      89
    • 出版者
      筑波書房

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公開日: 2013-07-10  

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