研究課題/領域番号 |
23580306
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 幸嗣 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20274524)
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研究分担者 |
鈴木 宣弘 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80304765)
外園 智史 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40611570)
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キーワード | 戸別所得補償制度 / 制度設計 / 環太平洋経済連携協定 / 計量経済分析 |
研究概要 |
本研究の主目的は,環太平洋経済連携協定(TPP)への参加がわが国の米経済に与える影響を分析し,その上で,米戸別所得補償制度の再設計について計量経済分析を行うことである.なお,当初は,東日本大震災が主食用米供給に与える影響についても統計分析を行う予定であったが,上記の主目的を果たすには長期の視点が重要であるため,稲作規模拡大のコストダウン効果について計量経済分析を行うという形に研究目的の一部を変更した.この変更により,本研究は,米戸別所得補償制度の再設計をめぐる現在の議論とより整合的となり,より意義深いものとなった. 本年度の研究成果は,次のとおりである. 1.TPPなど貿易自由化の進展と予算の制約を念頭に置く場合,米戸別所得補償制度の問題点を克服する政策オプションとしては,米戸別所得補償制度を基本とする直接支払いに加えて,一定程度の関税と稲作の規模拡大を組み合わせることが重要である点を,調査分析により明らかにした. 2.家族労賃の見積りを再評価した上で,稲作規模拡大のコストダウン効果について計量経済分析を行った結果,その効果が約5~7ha規模で頭打ちとなり,規模拡大だけでは貿易自由化に対応できない点を明らかにした.つまり,以上の計量経済分析により,上記1の調査分析の結果が補完された. 3.以上で明らかになった関税,(予算制約下の)直接支払いおよび規模拡大の政策オプションの組み合わせについて,一元的に分析しうる米戸別所得補償制度のシミュレーション分析モデルを空間均衡モデルとして構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米戸別所得補償制度の再設計をめぐる現在のTPP参加問題の議論と整合的となるよう,研究目的の一部を変更したにもかかわらず,研究分担者や連携研究者との連絡調整がスムーズであったため,本研究は概ね順調に遂行することができた. しかし,米戸別所得補償制度のシミュレーション分析については,具体的な計量分析を行うためのデータベースの構築までには至らなかった.ただし,データベース構築は,構想段階から具体的な実施段階に現在移りつつあり,次年度初めにも完了する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
まず,本年度なしえなかったデータベースの構築を次年度初めにも完了する予定である.次に,交付申請書において,次年度予定している研究計画を着実に実行する予定である.なお,その際は,研究目的の一部を本年度変更したことが研究の遂行に支障を来たすことがないか,十分に注意を払う予定である.そのためには,本年度の経験を活かし,研究分担者や連携研究者との連絡調整をスムーズに行うことが有効であろう.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究目的の一部を変更したために本年度使用しなかった消耗品費の一部を,まず次年度初めにも全額使用する予定である.次に,交付申請書において,次年度予定している研究費の使用計画を着実に実行する予定である.なお,その際は,研究の遂行時と同様,研究分担者や連携研究者との連絡調整をスムーズに行うことにより,研究目的の一部を本年度変更したことが研究費の使用に支障を来たすことがないか,十分に注意を払う予定である.
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