研究課題/領域番号 |
23580308
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研究機関 | 旭川大学 |
研究代表者 |
近藤 功庸 旭川大学, 経済学部, 教授 (20305874)
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研究分担者 |
山本 康貴 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90191452)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 農業生産性 / 韓国 / 地域別貢献度分析 / 経済収束分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、アジアの先進国である日本と韓国において、農業生産性を計量経済学的に分析し、農業生産性の向上が食料自給率の向上に及ぼす影響を解明して行くことにある。平成23年度は、以下の研究活動を実施した。1.農業生産性分析に関する研究動向のサーベイ:研究課題に関連する内外の学術論文や文献資料等について、電子ジャーナルも利用して、研究動向をサーベイした。さらに、平成23年8月に、ギリシャで開催された国際生産性学会とスイスで開催されたヨーロッパ農業経済学会にも出席して、生産性の理論と分析手法および農業生産性の実証分析結果などに関する最新の研究動向をサーベイした。こうしてサーベイした結果を、次に述べる農業生産に関する実態調査、データベースの構築および生産性分析の学会報告などに反映させた。2.農業生産に関する実態調査:平成23年8月に韓国で、有機農産物などを生産する農家に対し、聞き取り調査を実施した。3.農業生産性分析に関するデータベースの構築:韓国において、白菜など農産物の生産費データを収集し、データベースの構築に着手した。また、農業生産性を計測する際に金額データのデフレートに必要となる各種価格指数データの収集、韓国における食料自給率の時系列データが掲載されている資料なども入手した。4.農業生産性に関する学会報告:平成24年2月にオーストラリアのフリーマントルで開催されたオーストラリア農業・資源経済学会において、韓国稲作生産性と経済収束分析をテーマとした研究報告を行った。本報告において、韓国稲作生産性の伸びは停滞していたこと、さらに韓国稲作生産性の地域間格差は縮小傾向にあり、収束していたことなどを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、当初の研究計画に沿って、おおむね順調に進展している。具体的には、韓国の白菜などに関する生産費データの収集や食料自給率データが記載されている資料などを入手できた。これら収集したデータについて、農業生産性を分析するためのデータベース構築にも着手できた。また、主要農産物の一つである米に関して、われわれは韓国の稲作生産性を分析した研究成果を国内学会と国際学会で報告した。これらの報告においては、韓国稲作生産性の伸びは停滞していること、韓国稲作生産性の地域間格差が縮小傾向にあることなどを明らかにした。ただし、当初分析予定であった小麦については、韓国側の生産費データが利用困難であることが判明しため、分析を見送ることにした。
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今後の研究の推進方策 |
1年目である平成23年度は韓国の白菜などの生産費データのほか、価格指数データを収集し、データベースの構築に着手した。今後も引き続き、韓国において生産費が公表されている農産物の生産費データの収集につとめ、韓国の農業生産性を分析して行く計画である。具体的には、以下のように進めて行く。 平成24年度において、データベースを構築した韓国の農産物に対し、農業生産性分析を試みる。特に生産性分析のデータセットの作成では、分析期間中、データの定義変更などが想定される。このため、データの定義について、その内容を詳細に確認し、データ接続の方法を探求する作業が必要とされる。また、地域別生産費データが利用できる農産物の生産性分析では、生産性の地域別計測結果から全国集計結果を求めるために必要となる当該農産物の地域別生産量(または生産額)のデータ収集を進めて行く予定である。 平成25年度においては、農業生産性の地域別貢献度分析と経済収束分析を通じ、生産性の地域間格差が縮小するか否かの解明に着手すると共に、農業生産性の向上が食料自給率の向上に及ぼす影響を数量的に明らかにするためのシミュレーション分析なども実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2年目の平成24年度における研究費の使用計画は以下の通り、主として国内外の旅費、物品費などに支出される計画となっている。1.旅費:資料収集については、韓国の関係機関などを訪問して、さらに多くの生産費関連データを収集するための旅費への支出を計画している。学会報告については、国内学会ならびに国際学会で、研究成果を報告ための旅費への支出を計画している。2.物品費およびその他:物品費として、生産性分析に関する研究資料、生産性分析に必要とされる消耗品など(プリンターのインクタンクやカラートナー、カットシート、収納ファイル等)への支出を計画している。その他として、英文原稿のネイティブ・スピーカーによる英文校閲費への支出、国内学会や国際学会の参加費への支出などを計画している。
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