研究課題/領域番号 |
23580311
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
山下 東子 明海大学, 経済学部, 教授 (50275822)
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研究分担者 |
堀口 健治 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80041705)
下田 直樹 明海大学, 経済学部, 教授 (90206235)
工藤 貴史 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (00293093)
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キーワード | 農業経済学 / 農村社会 / 漁業 / 漁村社会 / 漁業センサス |
研究概要 |
本研究の目的である1)高齢者が漁業を辞めない理由を探り、2)高齢漁業者の存在が日本経済にもたらす功罪を分析することに照らし、本年度は研究実施計画に記載したア)農業等他産業との比較、ウ)漁業センサスを活用したパネル分析、エ)漁業者・漁業関係者へのヒヤリング調査を行った。研究会を開催して進捗状況の確認をするとともに、国際学会において研究成果の発表を行った。 その具体的内容は、ア)北海道岩見沢における追跡調査およびその他地域(本経費外)における調査(担当:下田、連携研究者加藤基樹)、ウ)2008年漁業センサス個票加工データの入手と組み換え(担当:工藤)、漁業経営調査個票加工データの入手と分析(担当:山下)、エ)新潟県佐渡追跡調査(担当:工藤)、山口・鹿児島調査(担当:堀口)、岩手県・宮城県調査(担当:山下)である。研究進捗状況管理のために2回の研究会を開催した。第1回は外部専門家として国立社会保障・人口問題研究所の山内昌和氏をお招きし、「漁業者の再生産に関する検討」について報告を受け、ディスカッションを行うとともに山下より「年金漁業者の社会的費用―日本のケース」について報告した。第2回は堀口より「久しぶりの山口県漁業―就業者の構成・補充・新規参入状況」、加藤より「農業を辞める理由について―漁業との比較のために」について報告し、次年度に予定している研究成果報告(シンポジウム)と研究成果とりまとめの方向性について議論した。また各自文献研究を行った。 本年度の研究活動の意義は、時間を隔てた定点観測により漁村の変化を確認できたこと、農業を含む他産業と漁業との相違点を明らかにできたことにある。また成果発表面では今年度も本研究による一定の研究成果を発表することができたこと、来年度、本科研の研究成果発表の場を獲得できたことも本年度の研究の意義である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究項目のア)農業等他産業との比較、ウ)漁業センサスを活用したパネル分析、エ)漁業者・漁業関係者へのヒヤリング調査を実施した(詳細については【研究実績の概要】に記載した)。当初計画ではイ)他国の漁業者の退職時期・退職理由との対照、を行う予定であったが、国際学会での研究成果報告や国内調査研究のための旅費がかさんだため実施を見送った。その代わりに研究代表者・研究分担者・連携研究者の全員がエ)の調査を実施することができた。 ウ)については昨年度着手が遅れていることを自己評価に記載したが、今年度は得がたいデータを2方面から入手できた。これは今年度新たに工藤貴史氏を研究分担者に加えた成果でもある。分析結果の発表は来年度となる。 以上、ア)~エ)を総合すると順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度もア)~エ)の研究方法に沿って研究を進める。今年度は、来年度の漁業経済学会のシンポジウムテーマの募集に対し、本研究の成果報告に基づく「高齢漁業者の実像と十年後の漁村」という題目で企画書を作成し応募したところ、採用された。そこで当初予定通り口頭でのまとまった成果発表を行う具体的予定を組むことができている。 研究成果の論文作成・投稿については、各自がこれに取り組むとともにその成果を取りまとめて書物ないし報告書の形で刊行する可能性を検討する。そのために研究代表者・研究分担者・連携研究者相互間の競争と協力ができる体制を維持する。 今年度も研究進捗状況の確認のための研究会と、研究成果とりまとめの段階で必要な追跡調査、補足調査のため、ヒヤリング調査やデータの分析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画には基本的には本年度と同様の費目を計上した。旅費は漁村訪問調査および研究成果発表のために使用し、人件費・謝金は研究の取りまとめ、論文執筆のために使用する。必要な図書の入手と研究用機材の更新も予定している。来年度も研究代表者・研究分担者相互間の連絡を密にし、効率的かつ効果的に研究費を使用する予定である。
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