研究課題/領域番号 |
23580313
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
近藤 和美 国際基督教大学, 社会科学研究所, 研究員 (40569852)
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キーワード | ローカルフードシステム / 持続可能な農業 / 農業の多面的機能 / 都市農業 / 貧困 / 地域経済 / コミュニティ形成 / 日米比較研究 |
研究概要 |
本研究は日米のローカルフードシステムの比較研究をテーマとしている。平成24年度はアメリカで現地調査をおこない、昨年度調査した事例についての追加データを収集するとともに、比較のため他の事例についての調査もおこなった。その結果、ローカルフードシステム推進の担い手として農業者、大学などの研究者、専門家、社会福祉や環境関連のNGOや活動家、教育組織、行政担当者などさまざまなアクターが連携することにより、農業の領域を超えたところでも活動がおこなわれていることが明らかになった。地域経済への波及効果の期待が大きく、メディアでもたびたび取り上げられていることにより、当時者たちが活動への自信を強めるという、制度の推進に向け正の循環が認められた。このことは追加の事例でも認められた。また、教育や社会公正の側面からローカルフードに取り込むといったことが熱心に行われ、その結果一般市民の強い関心と関与を呼び起こしていることが明らかになった。つまり、活動領域が農業以外に広がることにより、ローカルフードは特定の者が推進するものから一般市民が多様な側面から参加する運動へと変革していることが明らかになった。 また、日本のローカルフード発展の事例として、農業者と消費者の「提携運動」の歴史的展開をアメリカの事例との比較から検討することにより、日本の提携運動の先進性が明らかになった。この点を論文として発表していく価値が認められることから、現在執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年4月に行われた国際学会で論文を発表。8月にはアメリカでの調査を行い、前回の調査の追加のデーターを収集するとともに、事例の数を増やして調査をおこなった。その後、日本の事例について予備的調査をおこなった。また、日本のローカルフードに関する歴史についての文献も整理し、現在英文で論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はアメリカの事例を取りまとめるとともに、日本の事例について調査をおこなう。日本においては原子力発電所の事故による放射能の土壌汚染の農業への影響は無視できず、その状況下でローカルフードがどのように展開しているかの検証も含める必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年では日本において調査を実施する。なお、24年度の未使用分は日本においての調査に必要な経費の残額であり、今後その目的に使用する。
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