研究課題/領域番号 |
23580316
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 教授 (30328900)
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研究分担者 |
田中 勝也 滋賀大学, 環境総合研究センター, 准教授 (20397938)
藤栄 剛 滋賀大学, 環境総合研究センター, 准教授 (40356316)
佐藤 祐一 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 研究員 (30450878)
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キーワード | 環境政策 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 農業経済学 / 農業環境政策 |
研究概要 |
本研究は、農業環境政策を評価するためのツールとして、琵琶湖集水域において、政策による農業生産の変化と農家経済への影響を分析する農業経済モデルと、農業生産の変化が水環境に及ぼす影響を分析する水文水質モデルとを統合したモデルを構築し、平成23年度から始まった環境保全型農業直接支援対策の政策評価を行うことを目的とする。 平成23年度は、土地利用の大半が水田である、琵琶湖南東部の家棟川流域(野洲市)を対象に水文水質モデルであるMIKEモデルを構築し、100メートル四方を単位として、全農家が慣行農法を採用している場合と、化学肥料を半減して濁水対策をとる場合とで、リンの排出量を比較した。 今年度は、農家経済モデルを構築するため、滋賀県の集落レベルのデータを用いて、農地・水・環境保全向上対策の先進的営農活動支援(現行の環境保全型農業直接支援対策)への参加をモデル化した。ある集落の参加は近隣集落の参加または不参加に影響を受けるため、空間GMMロジットモデルによって推計した。集落の属性のうち、共有財産・共用施設に関する寄合の実績や、集落構成員の多様性は、参加行動に対して正で有意な影響を持つことが示された。また、参加行動と構成員の平均年齢との間には逆U字型の関係が成立し、平均年齢の上昇は初期的には正の影響をもつが、40代半ばをピークとして負の影響に転じるという結果になった。営農に関連する変数では、水田面積比率や3ha以上の大規模農家比率は正の、耕作放棄面積比率は負の影響を参加行動に及ぼし、地理的条件では、豪雪地帯や都市部に立地する集落は、保全型農業を実施する機会費用が高いためか、全体として参加する傾向が低い。また、直接販売など農協以外の販路で出荷している農家の比率は、参加行動に正の影響を与えていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
農家への調査票調査の実施には至らなかったが、25年度は速やかに実施する。
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今後の研究の推進方策 |
早急に農家への調査票調査を実施し、農家経済モデルを完成させ、水質水文モデルと統合する。研究をとりまとめ、今年度中に研究成果を書籍として刊行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査票調査の実施費用、研究とりまとめのための打ち合わせ会議の旅費、国際的な会議・学会等で研究成果を発表するための旅費などに研究費を使用する。
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