研究課題/領域番号 |
23580317
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
大江 徹男 明治大学, 農学部, 教授 (60409498)
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キーワード | 国際穀物市場 / バイオエタノール / アグリビジネス / 再生可能燃料基準 / エネルギー自立・安全保障法 |
研究概要 |
これまで、アメリカのバイオエタノールについては、政策面において分析を実施してきた。具体的には、改正再生可能燃料基準(RFS2)の最終規則案が公表されたのを受けて、アメリカ農務省(USDA)が提出しているRFS2及び最終規則の内容について分析、検討した。バイオエタノールの生産拡大を推進するインセンティブである再生可能燃料基準(RFS)は、バイオエタノール支援策の核心部分であるだけに、その詳細な内容の分析とそこから析出される結論は、バイオエタノールの今後の普及を予測するうえで不可避である。また、優遇税制(ブレンダーに対して、1ガロン当たり45セントの税額控除措置)については即時廃止する修正案が可決されるなど、重要な政策変更がなされた。 このような政策転換の背景や要因について、USDAや議会の資料を活用して分析を実施した。過去の現地調査で構築した独自の情報源を基に公的文書や資料、データを加えて、これまでの政策の変遷と今後の政策の方向性について検討した。 また、バイオエタノールが今後農業に与える影響を推定する際に重要となるのが第2世代バイオエタノールの開発動向である。RFS2ではセルロース系バイオエタノールの達成義務量を一定程度縮減するという具体的な目標値を設定しているだけに、第2世代バイオエタノールの商業生産が、今後のバイオエタノール生産あるいはRFS2の目標達成に必要不可欠である。この点については、各種の資料を駆使して、実験的に生産を開始している企業の動向を整理しながら、商業化の動向について、注目している。 なお、バイオエタノール生産設備やより広い意味でのバイオ燃料の活用方法を検討するために、国内のバイオ燃料プラントを見学し、関係者から主に技術的面において様々なアドバイスを受けた。アメリカ研究を補完するための調査であり、非常に参考になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、アメリカ農業の現段階を十分に意識しながら、これまで収集したデータや資料を整理し、バイオエタノールの支援策の動向やアメリカ農業に与えている影響について多面的に分析を実施した。また、第2世代エタノール開発状況については、実験的生産を行っている主要企業の現状を把握することができたので、おおむね順調に進展しているものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には、アメリカにおけるバイオエタノール業者の事業展開や支援策の動向について現地調査を実施する。エタノール生産が、いわゆるシェール革命によって大きな影響を受けていることが推測される。格安の燃料源を容易に入手することが可能になったこともあり、バイオエタノールの需要は増々人為的な政策に依存する傾向が強くなることが予想されるため、政府や議会の政策の方向性について最新の情報を入手することを目指す。 もう1点がセルロース系バイオエタノールを含むいわゆる先進的バイオエタノールの商業化の動向である。第2世代バイオエタノール開発状況や商業化が現実的な段階に達しているといわれている。エタノール専業企業だけでなく、大手石油企業もまた積極的に参入しているといわれており、企業別の具体的な動向について整理する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内においては資料やデータの整理を実施する。更なる資料発掘と関係者からの聞き取り調査を実施するために、現地調査を実施する予定である。
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