LCAに基づく土地利用の影響評価手法を発展させるため、土地利用に関する現地調査と資料収集を行うとともに、インベントリデータベースの作成、シナリオベースの影響評価手法の検討を行った。さらに、持続可能な食料・エネルギー生産システムの設計を試みた。 (1)土地利用変化に関する調査と資料収集をインドネシアにおいて実施した。西カリマンタンでは、オイルパームへの土地利用転換について、中部カリマンタンでは大規模農地開発の失敗事例(メガライスプロジェクト)について調査を行った。東カリマンタンでは、大規模農園(フードエステイト)導入に伴う湿地から水田への転換の状況、移植をはじめとする水稲栽培技術の状況、水稲作・園芸作・漁業を組み合わせた複合的生産の可能性等を調査した。また、オイルパームプランテーション内における森林の意義を明らかにするため、南スマトラの事例において、生物多様性に関するデータを収集した。 (2)オイルパーム生産、水稲生産等を対象とし、農業生産(フォアグラウンドプロセス)と肥料・農薬等の農業資材の製造(バックグラウンドプロセス)に関するインベントリデータを作成した。 (3)シナリオベースの影響評価手法については、評価範囲(システム境界)を拡張することにより、間接的影響(評価対象を利用しなかった場合に発生する影響)を組み入れる方法を適用した。 (4)以上を踏まえ、持続可能な食料・エネルギー生産システムの設計手法を検討した。第1に、土地利用の影響評価においても、代替案(新たな土地利用のオプション)をいかに作成するか、さらには評価基準に対するウェイト付けをいかに行うかが重要であることが再確認された。第2に、土地利用変化を、土地利用類型の変化としてではなく、管理強度の変化として把握することの重要性が示された。
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