最終年度である2013年度には、これまで考慮していなかった堤体の自重が作用する条件での浸透破壊を検討した。自重による効果を明らかにするため、L字の特殊堤をモデル化した堤体模型を作成し、浸透のある条件と無い条件での浸透破壊模型実験とFEM解析を行った。特殊堤は水深13cmとなったときに滑動および転倒で安全率が1.0となるよう設計した。模型実験の結果、浸透がない条件では水深が20cmを超えても堤体は滑動および転倒を起こさなかったのに対し、浸透のある条件では水深が14cm程度で転倒破壊を起こすことが分かった。また、本研究で使用している弾塑性有限要素解析手法がこの実験結果を精度よく解析できることが分かった。そして、弾塑性有限要素解析の結果、浸透がある条件ではない条件と比較して上流側からの吸い込みの影響が大きいことが明らかとなった。
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