平成26年度は昨年度の積み残しを行った。すなわち,①追加の降雨斜面模型実験の実施,②モデル実験のシミュレーション,③安全度指標の検討,および④研究の総括,である。①については,重力(1 g)レベルでの高さ92cmで斜面勾配45度の模型斜面について,降雨による斜面崩壊実験の追試を行った。その結果昨年度までに明らかにされた点,すなわち,崩壊には,表層崩壊と進行性破壊の二つのパターンがあり,それらは降雨強度と表層の砂層の密度に依存することが明らかとなった.表層崩壊は密度が低く,降雨強度が大きい程起こりやすいことがわかった。また,②については,有限要素法を用いた飽和・不飽和圧密解析を行った。その結果解析においても,上記のような崩壊が予測できた。この点は非常に大きな発見であった。また,崩壊は斜面法先の間隙水圧が正圧となる部分から発生することがわかった。つまり,この部分での間隙水圧の発生を防ぐことが,斜面崩壊の防止に有用であることがわかった。③の安全度指標については,斜面法先部で測定された間隙水圧を用いるのが最も有効である。しかし,測定には多くの労力が必要である点を考えるならば,重要箇所での安価な防止策を考慮することが肝要に思われる。④の研究の総括としては,今後は安価な防止策の提案に関する研究に注力する必要がある。
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