本課題では、凍結融解に晒される不飽和土中の水分・窒素循環と様々な環境変化に対する応答を明らかにすべく系統的な実験と現場観測、数値モデルの検討を目的としている。 H25年度は、H24年度に検量を行ったTDR法を室内の一次元カラム実験に適用し、不凍水量の測定精度を向上させた上で、土質や境界条件の違いを比較検討するとともに、マクロポアが土中への凍結前線の進行や融解浸潤過程に及ぼす影響を明らかにした。そして、こうした不均一融解が凍土中の水分・溶質際分布に与える効果を評価した。また、0℃近傍の凍土の不凍水量曲線や透水係数を精密に測定し、凍結の速度や履歴、氷の非平衡成長がこれらに及ぼす影響とそのヒステリシスを明らかにした。そして、実験結果やWashington大のDr. Fluryとの討議に基づき、凍土中の氷量の増減と不飽和透水係数の変化を評価できるよう凍土の毛管モデルを改良するとともに、数値解析に資する土の凍結モデルの検討をWNUのDr. Kurylykと行った。また土の凍結モデルを2次元数値解析コードに適応し、遮水壁の構築など多元的な水の流れがある状況下での土の凍結問題についての課題を整理した。 窒素循環については、還元土へ酸素や窒素イオンが流下する際に、どこでどのタイミングで窒素の態が変化するのかを流速と共にマイクロメートルスケールで測定した。そして、酸素の流下と拡散にともなう表面酸化層の形成過程のモデル化を試みると共に、これらの系における窒素動態におよぼす不均一系の影響を検討した。また、これらの土中の窒素化合物の酸化還元反応のモデル化を進めた。 以上の成果を関連学会で発表し、関連各誌に論文として公開した。凍結深さ分布については、昨年度立ち上げたデータベース作成委員会によりデータ収集・電子化を進めるとともに、その一部の試験的公開を始めた。
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