研究課題/領域番号 |
23580332
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柴田 祐 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90444562)
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研究分担者 |
澤木 昌典 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90254458)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 集落 / 環境管理 / 通い / 国土保全 |
研究概要 |
兵庫県北部の但馬地域を対象として、農林業センサスにより消滅した可能性のある集落を抽出したうえで、各市町に対するアンケート調査及びヒアリング調査を実施し、1960年以降に発生した消滅集落として15集落を特定した。現地調査及び市町へのヒアリング調査を実施し、集落消滅の経緯・時期、「通い」を行っている居住者の有無、道路などの管理状況などを把握した。さらに兵庫県全県へ対象を拡大して消滅集落の抽出及び特徴の把握を進める計画であったが、特定できた15集落の詳細を先に把握した方が以後の研究を進める上で効率的であると判断し、平成24年度に実施する計画であった「通い」を実施している元居住者へのヒアリング調査を前倒しで実施した。行政関係者の紹介及び近隣集落における聞き取りにより各消滅集落の元住民とコンタクトを取り、「通い」の経験のある各元住民11人に対するヒアリング調査を実施した。その結果、(1)集落の消滅時期は1960~1970年代が多く2000年代以降に消滅した集落はない、(2)消滅の理由は、積雪による集落の孤立、子どもの教育の問題が多い、(3)消滅した15集落中10集落で「通い」が実施されている(うち2集落は過去に実施)、(4)通いの内容は、農林業の他、墓や寺社の管理、山菜採りなど、(5)「通い」の実施者の年齢は70代80代で、次の代に引き継がれる目途がなく、近い将来、元の集落地を放置せざるを得ないと考えていることなどが明らかとなった。さらに、上記調査と平行して、平成24年度に実施する予定であった都市住民等による維持管理活動事例に関するヒアリング調査の一部を前倒して実施した。具体的には、兵庫県「小規模集落サポーター派遣事業」を対象として、平成22、23年度に小規模集落へ派遣された5名のサポーターを対象にヒアリング調査を実施し、外部からの人材が地域支援活動を行うプロセスと、活動をする中での意識を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定よりも消滅集落の特定に時間を要したため、当初想定していた対象地域全域での消滅集落の特定には至らなかったが、特定することができた消滅集落を対象として、その詳細を先に把握した方が以後の研究を進める上で効率的であると判断し、平成24年度に実施する計画であった「通い」を実施している元居住者へのヒアリング調査を前倒しで実施した。なお、消滅集落の特定作業は、上記と平行して行った。さらに、平成24年度に実施する予定であった都市住民等による維持管理活動事例に関するヒアリング調査の一部を前倒して実施した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き兵庫県全県を対象として消滅した集落及び消滅が危惧される集落の抽出と特定及び特徴の把握を進めるとともに、調査対象を近畿圏全体へ拡大して消滅集落の特定及び特徴の把握を進めることとする。また、既に一部実施している、「通い」を実施している元居住者へのヒアリング調査を計画通り進める。その上で、対象消滅集落における集落環境の維持管理の実態について、航空写真の判読とともに、ヒアリング調査、現地調査を実施し、把握する。また、既に一部実施している、都市住民等による維持管理活動事例に関するヒアリング調査を計画通り実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として、対象集落を含む市町の住宅地図を購入する予定である。旅費として、元居住者に対するヒアリング調査及び都市住民等の活動事例に対するヒアリング調査に係る出張旅費、昨年度研究成果の発表のための出張旅費を支出する予定である。人件費・謝金として、ヒアリング調査のテープ起こし及びデータ整理のためのアルバイト給与を支出する予定である。
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