研究課題/領域番号 |
23580334
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中丸 治哉 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80171809)
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研究分担者 |
多田 明夫 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00263400)
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キーワード | 流出負荷量モデル / 水質濃度モデル / 長短期流出両用モデル / LQ式 / CQ式 / 多目的計画法 / 妥協計画法 / 水質観測 |
研究概要 |
奈良県五條市の山林小試験流域において,雨量観測及び流量観測を継続するとともに,FIPオンサイト水質観測システムによる高頻度かつ連続的な水質観測を実施した. また,長短期流出両用モデル(LST-II)をベースとした河川水質モデルを開発した.前年度は,両用モデルに流出成分別のLQ式を組み合わせた流出負荷量モデルを検討したが,今年度は,両用モデルに流出成分別のCQ式を組み合わせた水質濃度モデルも併せて検討した.決定すべきパラメータは,流出モデルが14個,LQ式(ないしCQ式)が4つの流出成分に対してそれぞれ2個で8個,合計で22個である.これらのパラメータの決定には,以下の①~③に示す方法を検討した.なお,誤差評価関数にはRMSEを採用し,その最小化にはSCE-UA法を用いた.①河川流量の再現誤差を最小化して流出モデルのパラメータ14個を決定した後,流出負荷量の再現誤差を最小化してLQ式のパラメータ8個を決定する.②流出負荷量の再現誤差を最小化して全パラメータ22個を決定する.③前述の①と②の結果を利用して,妥協計画法によって河川流量と流出負荷量の再現性を両立させた解を求める.なお,水質濃度モデルの場合は,上記説明における流出負荷量を水質濃度に,LQ式をCQ式に読み替える.検討対象とする水質項目は,ナトリウムイオン,カリウムイオン,塩化物イオンで,それぞれについて①~③のモデルを決定した. ①~③で得た各モデルによる河川流量及び河川水質(流出負荷量ないし水質濃度)の再現性を検討したところ,河川流量の再現性は①が最良,②が最悪,河川水質の再現性は①が最悪,②が最良となった.それらに対して,③の妥協計画法によるモデルでは,河川流量の再現性は①より若干劣る程度,河川水質の再現性は②より若干劣る程度となり,③によれば河川流量と河川水質の再現性を両立させたモデルが得られることが示された.
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