研究概要 |
17m×110mの圃場に大豆を播種した。自動灌漑区とシミュレーション灌漑区を設け、シミュレーション灌漑区の中央に位置するウェイイングライシメータで蒸発散速度を測定した。また、可能蒸散量測定用カラムと風速計を設置した。灌漑には散布直径11mのスプリンクラーを用いた。各区の深さ1, 5, 10, 20, 40, 70cmにTDRと熱電対を埋設し、水分と地温の自動測定を行った。自動灌漑区では、深さ10cmのTDR2本から出力される体積含水率の平均値が0.047を下回った際に、電磁弁を用いて1時間(5mm)灌漑させた。シミュレーション灌漑区では、土壌水分移動解析プログラムWASH_1Dにより土壌中の水分分布や蒸発散量を予測し、それらの値から純収入が最大になるように灌水量を決定し、2日に一回灌漑を行った。初期生育期間中はシミュレーション区でも自動灌漑区と同量潅水し、発芽後40日後にシミュレーション灌漑を開始させた。その結果、自動灌漑区に比べシミュレーション灌漑区の収入は5割以下、純収入で4割以下となった。仮にシミュレーション灌漑区の子実/地上部乾物重比率が、自動灌漑区と同じであったと仮定した場合には、シミュレーション灌漑区の方が収入がやや少ないが、総灌水量が少なかったため、支出がわずかに低く抑えられ、純収入がほとんど変わらない結果となった。シミュレーション灌漑区の子実/地上部乾物重比が小さかった理由は、生殖成長期においてシミュレーション灌漑区での潅水量もしくはタイミングに問題があったためと考えられる。数値解はセンサーによる実測値に概ね一致させることができた。
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