研究概要 |
平成24年と同様の実験を繰り返した。自動灌漑区の潅水基準水分はでは0.09と前年より緩やかにした。シミュレーション灌漑は播種27日後より開始した。 その結果、期間中の潅水量は自動灌漑区が108mm,シミュレーション灌漑区は160mmとなり、後者がかなり大きくなった。自動灌漑区の潅水量が少なかったのは、観測対象の2株のうち片方が重篤なアワノメイガの食害を受け、平均水分の減少が遅れたためと思われる。乾物生産量と子実収量は自動灌漑区の6.7および2.1t/haに対し、シミュレーション灌漑区は7.3および2.2t/haとやや上回り、純収入も後者がやや上回った。やはり前年と同様、深刻な虫害を受けたものの、前年より一般的な収量に近く、ある程度信頼できる実験結果として示せる結果が得られた。また、より正確な成長モデル中のパラメータが得られたため、今後はトウモロコシについてはより正確な数値解析が可能と期待される。水分の数値解はセンサーによる実測値に概ね一致させることができた。 天気予報の精度を検証したところ、気象要素から計算される蒸発散位は概ね実測値と一致したものの、日(有効)降水量はRMSEが6.0mm/dと精度がかなり低いことが明らかとなった。 水分移動や成長モデルそのもの、およびモデル中のパラメータの精度に由来する誤差による最適潅水量の決定誤差に加え、降水量の予報誤差がシミュレーション灌漑の優位性を減殺した結果、収量や純収入に大きな差がなかったものと思われる。 数値予報と土壌物理シミュレーションモデルを組み合わせた灌漑水量決定法は、水分モニタリングに基づく自動灌漑と控えめに評価しても同程度、場合によってはより大きな純収入をもたらしうることが明らかとなった。
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