既存の海岸堤防の上部に設置し,気候変動の影響で将来増加すると考えられる中小規模の高潮に伴う溢水被害を軽減する自己起立型補助堤防(以下,「補助堤防」という)について,24年度までに製作した1/3スケール模型による水理模型実験を通じて外水位と起立角度の関係を数式化した。これにより,所定の外水位で起立するのに必要な補助堤防の形状を設計できるようになった。また,1/3スケールの模型では,補助堤防の遮水板の下部に取り付けた車輪が起立時に左右にぶれることにより遮水が不十分になるなど設計上の問題点が抽出されたが,これを改善するとともに現地に設置した場合でも微細な砂などが混入して動作が不良にならないよう部材の見直しを行い,実スケールの補助堤防模型を製作した。その動作機構を水理模型実験で検証した。 本研究の成果は,特許申請に向けて準備を進めているため,25年度内の成果の公表を見合わせた。今後,26年度の農業農村工学会大会講演会で発表するとともに,プレスリリースをおこなうよう準備を進めている。
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