研究課題/領域番号 |
23580343
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
前田 武己 岩手大学, 農学部, 准教授 (40333760)
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研究分担者 |
立石 貴浩 岩手大学, 農学部, 准教授 (00359499)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 農業工学 / バイオマス / 廃棄物再資源化 / 環境技術 / 園芸学 |
研究概要 |
肥育牛排せつ物と肥育豚排せつ物とを供試材料とし,それぞれ塩化マグネシウムを添加した材料と無添加の対象区とを小容積の室内実験装置を用いて15日間の堆肥化を行い,材料温度変化や有機物分解率,MAP生成,アンモニア揮散などについての基礎データを収集した。特に,塩化マグネシウムの適切な添加量についての知見と,堆肥に含まれるMAP含有率を適切に求める方法について検討した。 いずれの排せつ物においても,乾燥質量1 kgあたりの塩化マグネシウム添加量が0.2 mol(以後,mol kgDM-1と記す)より大きいときには,堆肥化時の材料温度上昇に軽度の遅れが生じ,有機物分解率が低く推移した。この結果は,塩化マグネシウムの添加により堆肥材料のECが上昇したため,有機物分解に関与する微生物の活動が抑制されたためと考えられる。また,堆肥試料を0.1 M HClと2 M KClとによりそれぞれ抽出し,抽出液中のアンモニア性N,P,Mgについて分析し,HCl抽出による値からKCl抽出による値を差し引いてMAP量の評価方法を行った。この結果,堆肥試料のMAP含有率については,アンモニア性Nのみによる評価はMAP含有率を過大に見積もる危険性が高く,PとMgを含めた3要素の全てについて2種類の抽出法による差引値を求め,これらのうち最も低いmol含有率をMAPの値とする方法が,適切と考えられる。また,堆肥化時のアンモニア揮散は塩化マグネシウムの添加により抑制され,初期全窒素に対する相対揮散率において,0.2 mol kgDM-1の添加では対照区に対して15%が,0.4 mol kgDM-1では同様に33%の低減効果が認められた。この揮散低減効果は,MAP生成促進によるものだけではなく,塩化マグネシウムの添加により堆肥材料のpH上昇が抑制されたことの影響が大きく表れたためであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに,肥育牛排せつ物と肥育豚排せつ物について,Mg添加によるMAP生成促進がアンモニア揮散に及ぼす影響を明らかにした。また肥育牛排せつ物については,MAP構成元素の堆肥化時の動態と,材料温度変化,有機物分解に及ぼす影響についても検討を行った。これらの成果から,研究目的に掲げた,家畜排せつ物堆肥化時のMAP生成とMg添加によるアンモニア揮散低減とについては,今後の検討項目の整理ができている。このため,今後の研究進展に大きな支障はないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得た知見をもとに,異なる畜種に対する実験データの積み重ねと,家畜排せつ物は畜種により畜舎より搬出されて堆肥化される間のハンドリングが異なるため,塩化マグネシウムを添加するタイミングについても検討を行う。また,実規模を想定した実験を行うために,実験装置の製作と実験手順の確認を行うとともに,できるだけ早くに実験に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでと同様に室内小型装置による堆肥化実験の消耗品費ならびに試料分析員の謝金などに利用するとともに,実規模を想定した実験装置の製作費と供試材料の調達に利用する。また,研究成果の学会発表と論文投稿に関わる費用としても利用する。
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