1. ゲルを用いた加圧冷却による冷却速度向上・水分損失抑制確認実験 各種予備実験を行い,操作性の観点からスクロースを含有する寒天ゲルシートを野菜モデルとして実験に供試することとした.大気圧下と0.8 MPa加圧下で品温を25℃から5℃まで低下させるのに要する時間とその間の水分蒸発量について比較検討を行った.その結果,0.8MPa加圧により,冷却速度は約1.5倍,水分蒸発量は5分の1に減少できることが確認された. 2. 加圧冷却がブロッコリーの貯蔵性に及ぼす影響 実験計画時に試料として予定していたホウレンソウ,小松菜では,電気インピーダンスによる組織損傷測定が困難であることが明らかとなったため,ブロッコリーを用いることとした.ゲル実験と同様の加圧・温度条件とし,貯蔵性の効果をみるためにL-アスコルビン酸含量の変化の測定を行った.ゲルと同様に加圧により冷却速度の増加効果が認められた.水分蒸発については加圧の有無による有意差は認められなかった.L-アスコルビン酸含量については,除圧速度による違いは見られたものの,貯蔵中のL-アスコルビン酸含量減少は加圧冷却により抑制の効果がみられた.加圧冷却では,除圧時に組織損傷が起こりやすいことが顕微鏡により観察されたため,除圧速度を変えて電気インピーダンス測定を行ったところ,除圧速度が速いほど直列等価抵抗RsとリアクタンスXのcole-cole円弧(10 Hz-100 kHz)の径が大きくなる結果を得た.予想と逆の傾向が出ており,現在その解釈について検討中である.
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