研究課題
本研究は,従来の低温・少量MAP(Modified Atmosphere Packaging)の技術を常温下における15kg程度の大容量MAPに発展させ,産地における新しい高品質貯蔵体制の構築を目指すものである。すなわち,O2,CO2,N2,水蒸気の物質移動に加えて,包装内部での呼吸と蒸散作用に伴う熱の発生および吸収,包装資材の伝熱特性,資材を通しての熱移動を考慮した大容量MAPの数学モデルを構築し,外気の温・湿度が変動する条件下におけるガスおよび熱移動を計算するコンピュータ・プログラムを作成し,生産地での貯蔵環境に即した包装設計による高品質な貯蔵形態を提示しようとするものである。熱移動のモデル式に,青果物の蒸散作用による蒸発潜熱の吸収と包装内部での水蒸気の凝縮による凝縮潜熱の発生を導入し,計算精度の向上を図った。これまでに実施した室内実験の測定結果とシミュレーション・プログラムによる計算結果を比較した結果,包装内部の空気温度,O2およびCO2濃度,相対湿度の変化を良好に計算できることが分かった。生産地の貯蔵環境における適切な包装形態を検討するため,晩柑類の貯蔵期間である3月期に,生産農家が所有する貯蔵庫において内部の温・湿度を測定・記録した。この測定値を利用してシミュレーション・プログラムによる計算を実施し,通常利用される厚さ0.019mmの低密度ポリエチレンフィルムによる10kg,15kg単位の包装・貯蔵における,品質保持に必要な有効ガス透過度の値を求めた。一方,本研究におけるこれまでの実験により,包装内のMA条件(O2,CO2濃度)に対する青果物の耐性がその物性(青果物内のガス拡散抵抗,間隙体積)に依存することが予想されたので,ガス拡散抵抗の性質を検討し,カンキツ8品種における果実内間隙体積の測定を行った。
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