本研究の目的は、薄板状木質バイオマス燃料を積層化させ、自然対流を抑制した狭小流路を有するバイオマス燃焼炉を提案し、低空気過剰率でかつ火格子状の燃焼残渣が少なくなる高効率バイオマス燃焼炉の開発および燃焼特性を明らかにすることである。この目的を達成するため、平成23年度は「薄板状木質バイオマス燃料を用いた燃焼場において発生する燃焼界面の特異的な振動現象を把握」するため、一部実験装置の改良を行い、燃焼界面の挙動を詳細に観察した。 平成24年度は、より実用燃焼炉に近い条件にするため、「積層化した薄板状木質バイオマス燃料における燃焼残渣の把握」を行った。具体的には、木質バイオマスの燃焼界面が進行するにつれて、設置している燃料底部に堆積するタールの生成過程について詳細に観察を行った。 最終年度である平成25年度は、積層化した木質バイオマス燃料を燃焼させた場合、燃焼界面が進行するにしたがって、薄板状の燃料形状が大きく変化し、下流部の燃焼形態に影響を与えていることを確認した。具体的には、燃焼した界面がしわ状に撓むことによって、上流から一様に流れている酸素ガスの流れに変化が生じ、燃焼界面付近の酸素供給に変化が現れ、結果として燃焼が複雑化した。さらに、このような燃焼場の温度域を把握するため、熱電対を用いた温度計測を行った。
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