研究概要 |
米の成分を簡便で迅速に測定する手法として近赤外分光法が実用化されている。ところが,近赤外分光法により米の水分含量やタンパク質含量は精度良く測定可能であることが確認されているが,従来からアミロース含量の測定精度は不十分とされており,その測定技術の開発が望まれている。そこで,近赤外光に加えて可視光を組み合わせ,米のアミロース含量を測定することを試みた。 アミロース含量測定の検量線は以下に示す2段階の検量線作成により行った。1)近赤外分析計によるアミロース含量測定の検量線をPartial Least Squares (PLS) 回帰分析により作成し,その検量線を用いてアミロース含量を測定した。2)上記で作成した検量線により測定したアミロース含量に,穀粒判別器(可視光を用いた米の外観品質測定装置)で測定したred, green, blue (RGB)情報を加えて,新たに重回帰分析によりアミロース含量を測定する検量線を作成した。これら作成した検量線の精度を検証した。アミロース含量の基準分析として,多波長スペクトル型オートアナライザーを用いて呈色比色法によりアミロース含量を測定した。 1)で作成した検量線の精度は,決定係数(r2)=0.96であったが,Bias, Standard Error of Prediction (SEP) ともに大きく,近赤外分光法による米の水分やタンパク質含量の測定精度と比較すると良くなかった。2)で作成した検量線は,従来より高い精度で米のアミロース含量を測定できることを示し,この精度はRatio of SEP to Standard Deviation (RPD) 法による評価で品質仕分けに適用可能であることが示された。
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