研究課題/領域番号 |
23580356
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
齋藤 高弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50221990)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 蛍光 / 麹菌 |
研究概要 |
蛍光分光法を用いた麹菌活性評価システムを開発するにあたり、(1)麹菌検出に適する光励起波長と検出波長をスクリーニングした後、(2)繁殖状況の異なる麹菌をモニタリングし、波長を最終決定することを試みた。米麹と蒸米の蛍光強度は検出波長470~480nmで最大を示し、波長が長くなるにつれ蛍光強度は減少する傾向を示した。しかし、米麹においては検出波長630nmにて再度値が増加するという特異的な傾向が確認された。この結果から、検出波長630nmの値を測定する事で、麹菌からの情報を得られると考え、検出波長630nmの蛍光強度を測定するのに最も適した励起波長を検討した。その結果、検出波長630nmの蛍光強度を測定するには励起波長410nmが最適と判断した。そこで実際に励起波長を410nmに設定し、繁殖状況の異なる米麹(培養0~48時間)と培地に培養した麹(培養0~18時間)を測定した。その結果、培養0、12時間の米麹は麹菌の繁殖が進行しておらず、蛍光強度にも大きな変化は見られなかったが、培養30、48時間の米麹は検出波長630nmにおいて蛍光強度の増加が確認された。米麹、培地で培養した麹共に検出波長480nmにおいて蛍光強度は最大となったが、米麹は培養時間と共に増加し、培地では減少する傾向を示したため、検出波長480nm付近における蛍光は麹菌とは直接関係していないと考えられた。そこで、励起波長を410nm、検出波長を630nmに選定し、この条件における米麹培養中の蛍光強度の変化を確認した。米麹の蛍光強度は培養0~10時間まで緩やかに増加し、培養20~38時間の間まで急激に増加した。その後、培養58時間まで21906~22752(counts/20μs)の範囲で一定に推移した後、培養74時間では減少し、麹菌体量や酵素活性と類似した値の推移を確認する事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の遂行にあたり、麹菌の計測に適した光励起波長と検出波長のスクリーニング、繁殖状況の異なる麹菌のモニタリングと蛍光スペクトル解析による光励起・検出波長の決定がなされ、初年度の目標は十分達成された。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光分光法を用いた麹菌活性評価システムを開発するにあたり、今後は、米や麹菌含有成分の発光におよぼす影響の解明、菌体量、ATP、酵素活性と蛍光スペクトルの相互関係の解明を通して発光因子の特定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、米や麹菌含有成分の発光におよぼす影響の解明、菌体量、ATP、酵素活性と蛍光スペクトルの相互関係の解明に必要となる、発光試薬や検査キットなどの購入を中心に研究費を活用する。
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