研究課題/領域番号 |
23580358
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
久保 守 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (90249772)
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キーワード | 画像計測 / 森林工学 / 地理情報システム(GIS) |
研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,連携研究者と共に6月から10月まで継続的に計5回,森林調査のために東京大学北海道演習林を訪問し,数年前からカラマツハラアカハバチによる食害が発生している8カ所のカラマツ林において,画角180度の円周魚眼レンズ付きの可視及び近赤外カメラを使って林冠を撮影した。2次元水準器を利用してカメラの光軸を鉛直上向きに,コンパスを利用して北の方位が円周魚眼画像の上になるようにカメラ座標系を調整して,毎回同じ位置・同じ方位で全天360度の範囲の林冠の状況を記録した。一つのカラマツ林において多地点で撮影を行った。また,5ヶ月間を通して林冠の季節変化を記録するために,インターバルカメラを8カ所のカラマツ林の各林床に設置した。 魚眼カメラによる林冠の可視画像と近赤外画像を組み合わせた樹冠画素抽出処理を考案し,抽出した樹冠の植生指数を算出することにより,カラマツ樹冠のスペクトル季節変動データを取得した。また,多時期の林冠全天画像から枝・葉レベルでの季節変化を取得するために,画素レベルで重ね合わせる必要があり,魚眼カメラ座標系の回転パラメータを校正する手法を考案した。これらの成果は国内外の学会で発表した。 本年度の研究成果は,カラマツハラアカハバチの食害におけるカラマツ林の季節変動データとして,さらには森林動態の3次元モニタリング手法および単木レベルの地理情報システム構築の基礎技術として意義あるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
森林動態の3次元モニタリングの目的に対して,魚眼カメラによる多時期の林冠全天画像から樹冠のスペクトル季節変動データを取得した。単木レベルの森林GISを構築する目的に対して,魚眼カメラ座標系の回転パラメータを校正する手法を考案し,単木の枝・葉レベルでの多時期画像の重ね合わせに取り組んだ。以上の通り,本研究の目的をおおむね達している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の調査およびデータ解析の改良点を連携研究者と共に検討する。それを踏まえて,調査地の森林を単木レベルで継続的に調査し,季節変動および年々変動データを取得する。取得した時系列データを3次元的に可視化するシステムを構築する。対象地域の衛星データを購入し,林冠全天画像と統合した森林GISを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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