研究課題/領域番号 |
23580361
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研究機関 | 福島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高橋 一義 福島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00332651)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | リモートセンシング / UAV / 生育診断 / 植被率 |
研究概要 |
申請者が地上実験から開発した、水稲上空(約3m)からの三次元レーザスキャナ計測(以降、レーザ計測)による「植被率」の推定手法を航空レーザ計測へ適用するための検討データを効果的に取得するための小型航空機をベースとした計測システムの開発・改良がおもな研究目的である。この計測システムに要求される機能は、(1)異なるレーザ照射面傾斜角での観測、(2)一定の飛行高度で低速飛行することで、照射レーザ光のレーザ径が異なる観測データを取得である。 平成23年度は、既存の小型航空計測システムに機能付加し、安定飛行能力の向上に注力して研究を推進した。まず、飛行時の機体を安定に保持し、離陸および着陸を半自動で可能とするためのオートパイロット機能を追加した。これにより、風速4m/s(実験地最近隣のアメダス地点の1時間値)ほどの状況下においても、機体を安定させ飛行可能であることを確認した。つぎに、機体位置の高精度推定を目的に搭載した単周波GPS受信機による観測では、機体の挙動と測位結果に十数秒のズレが発生していることを確認した(これについては、GPS受信機の設定変更、機体姿勢センサの出力データを利用した同期処理の検討を予定)。また、センサ取り付け台をジンバル化し、レーザスキャナの取り付け角を可変とすることで、レーザ照射面の傾きが異なる観測データを取得できるとともに、機体の傾きの影響を受けることなく一定の角度での計測を可能とする改良を施した。なお、当初見込んだ搭載重量では、既存機体のペイロード能力限界に近づいたため、飛行時の風速や気温の変化に安定応答が難しい状況と判断し、駆動方式を電動からガソリンへ変更した。これにより、当初の約2倍のペイロード能力と約4倍の連続飛行時間を有する小型航空計測システムを構築できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機体の飛行位置を高精度に計測するための機器として単周波GPS受信機を利用した。しかし、飛行実験結果から機体の挙動とGPS測位結果の間に十数秒のズレが発生していることが判明した。このため、機体位置の高精度な計測に関して、当初計画通りの性能評価はできなかった。この他の研究内容については、概ね当初計画通りに遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
機体位置の高精度な計測については、GPS受信機の設定変更や、機体に取り付けた加速度センサの出力を利用した修正を試みる予定である。また、機体に搭載した画像センサの出力情報から狭所ならば機体の位置を概ね推定可能であるので、補完情報として利用する予定である。 今後は、小型航空計測システムの飛行性能の評価と並行し、レーザスキャナによる水稲の計測実験を実施する予定である。なお、小型航空計測システムによる水稲の計測は、平成24年度は、1~2回を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に引き続き小型航空計測システムの飛行性能を向上させるための機材整備と試験飛行(操縦支援)を予定している。それと並行する形で、水稲を対象とした小型航空計測システムによる計測飛行実験(操縦支援)を予定している。また、計測飛行実験に並行あるいは補完する形態で実施する地上計測実験において、水稲の葉面積指数を計測するプラントキャノピー画像装置(プラントキャノピー画像装置)を購入予定である。なお、本研究内容と関連した学会などで、研究推進に必要な情報を収集する活動を実施する。
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