研究課題
「ウズラ」と呼称される種は系統発生的には,キジ目ナンベイウズラ科に分類されるコリンウズラ等の新世界ウズラとキジ目キジ科に分類されるニホンウズラ等の旧世界ウズラが存在する。実験動物は目的に応じて多くの種が用意されることが望ましいので,これらについて比較検討した。ニホンウズラにおいては胚発生中の検卵が容易な白色卵殻形質(常染色体性劣性遺伝子:we)を黒色羽装ウズラ(常染色体不完全優性遺伝子:D)に導入して,実験動物として扱いやすい系統(Dwe)を造成した。新世界ウズラにおいては常染色体性劣性の非アルビノ白色系コリンウズラを増殖して,実験動物の新規系統(RW)として造成した。この形質を「Recessive White:劣性白色羽毛」,遺伝子を「rw」と命名した。性成熟まで8ヶ月以上必要であるので,旧世界のウズラに比べて,世代交代に時間がかかることと,形態的に雌雄鑑別が困難であることから,PCRによる雌雄鑑別が必要であることが弱点である。つぎに,生殖系列キメラの作出効率を向上させるために,レシピエント胚の内在的な始原生殖細胞の数を減少させる試みをした。ニワトリの生殖細胞を減少させる効果があるブスルファンをSPGポンピングコネクターによりゴマ油に乳化させ,投与後の薬剤拡散を防ぐようにしてから孵卵直前のニホンウズラ卵の卵黄中に投与した。ステージ28(孵卵5日)における50マイクログラム投与群の生殖細胞数は対照群の10%(445.1個 vs. 43.3個)であった。生存率は31%であり,対照群の56%に比べてやや低いが許容範囲であった。従って,先行研究であるニワトリと同様,ニホンウズラにおいてもレシピエント動物の乳化ブスルファンの生殖細胞減少効果があることが明らかにされた。国内外の研究者に新旧両世界のウズラ類を広く研究に活用してもらうような体制を整えることができた。
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