研究課題/領域番号 |
23580370
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
豊後 貴嗣 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (40325361)
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研究分担者 |
河上 眞一 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (50343984)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ニワトリ / 左右差 / モノアミン / 情動 / アニマルウェルフェア |
研究概要 |
本年度は、情動変化をもたらす環境下での行動ならびに終脳モノアミン濃度の左右差を中心に調査を実施した。(1)単離ストレス:ストレス負荷10分後においてニワトリヒナの血漿コルチコステロン濃度は上昇し、終脳ドーパミンあるいはセロトニン濃度において右脳優位性が認められた。また、その優位性はストレス負荷時にみられる鳴き回数と正の相関関係にあることが示された。しかし、旋回方向等の行動の左右差との関連については、明確な傾向は認められなかった。(2)摂食・探索行動の誘起:ミルワーム給与によって、ニワトリヒナの中枢モノアミン(ドーパミン、セロトニン)濃度は、上昇することが認められるとともに、行動量(ミルワーム啄み回数など)とそれらモノアミン濃度との間に相関関係が示された。しかし、左右差については、行動およびモノアミン濃度いずれにおいても明確な違いは認められなかった。(3)拘束ストレス:3日齢に拘束ストレスを負荷した15日齢ニワトリヒナの終脳ドーパミン濃度は、対照区のものよりも右脳優位性が低くなることが認められた。(4)砂浴びの誘起:砂敷きボックスに導入したヒナにおいて、終脳のドーパミン代謝回転が右優位、ノルアドレナリン濃度が左優位であることが示された。(5)飼育環境(温度・面積):環境温度の上昇に伴い、産卵鶏の終脳ドーパミンあるいはセロトニン濃度は右優位となることが認められた。一方、飼養面積が広い場合では右脳モノアミン濃度が低い傾向にあることが示された。以上の結果から、環境条件、特にストレス負荷によって終脳モノアミン濃度に左右差のあることが示され、それらを十分に精査した上で次年度以降、その他ホルモンやその受容体分布の違いを追跡できるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウェスタンブロットおよび免疫化学染色法によるホルモンあるいは生理活性物質受容体の測定に関して、抗体等の条件設定精査に時間を要し、未だ十分な結果が得られていないものの、モノアミン濃度および行動に関しては、先行して24-25年度計画分の一部を終了しており、計画全体としておおむね順調に進展しているものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
モノアミン濃度および行動に関しては、先行して早期に終了させるとともに、ウェスタンブロットおよび免疫化学染色法による測定については条件設定の完了したものから随時行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、ウェスタンブロットおよび免疫化学染色法による測定に関する消耗品
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