研究課題/領域番号 |
23580370
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
豊後 貴嗣 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (40325361)
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研究分担者 |
河上 眞一 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (50343984)
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キーワード | ニワトリ / 左右差 / モノアミン / 情動 / アニマルウェルフェア |
研究概要 |
本年度は、昨年に引き続き、情動変化をもたらす環境下での行動ならびに終脳モノアミン濃度の左右差を調査するとともにウェスタンブロット法による受容体発現量測定を中心に調査を実施した。 (1)環境エンリッチメントが行動および終脳モノアミン濃度の左右差に及ぼす影響:敷き料の設置とその繰り返し処理による影響を調べたところ、ニワトリヒナの血漿コルチコステロン濃度の低下と右脳ドーパミンあるいはセロトニン濃度の低下が認められた。また、行動においては鳴き回数の低下と不動時間の減少(活動量の増加)が示された。しかし、行動の左右差については、明確な傾向は認められなかった。さらに、餌探索行動(ミルワーム探索)あるいは遊戯行動(彩色粒子つつき)を誘起する環境条件を付加したところ、相加的に行動に影響を及ぼすことが示された。 (2)中枢ホルモン受容体発現:絶食ストレスによる中枢NPY受容体(NPY-Y1R)発現について、RT-PCR法およびウェスタンブロット法を用いて検討したところ、絶食によってその発現量が高まることが認められた。しかし、左右差については、著しい違いを示すまでにはいたらなかった。 以上の結果から、環境条件、特にストレス負荷によって終脳モノアミン濃度に左右差が生じることが明らかとなった。これらの結果を十分に精査した上で、その他ホルモンやその受容体分布の違いおよび変化の著しい脳部位検出でき、より詳細な情動変化を検出できるものと考えられた。得られた結果は、家畜の情動を評価する上で、脳の左右差がストレスのみならず快情動についても重要な指標となりうることが示されるとともに、本指標がアニマルウェルフェア基準策定において新たなブレイクスルーとなることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウェスタンブロットおよび免疫化学染色法によるホルモンあるいは生理活性物質受容体の測定に関して、抗体等の条件設定精査に時間を要しているため、若干の遅延があるものの、モノアミン濃度および行動に関しては、既に計画分のほとんどを終了しており、測定用試料の採取もほぼ完了している。したがって、計画全体としておおむね順調に進展しているものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
主にウェスタンブロットおよび免疫化学染色法による測定については、条件設定の完了したものから随時行っていく。すでにプロオピオメラノコルチンおよびアグチ関連ペプチドについては、条件設定は終了しているので、採取試料を用いて検討を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
ウェスタンブロットおよび免疫化学染色法ならびにPCR分析関連の消耗品を主とする。
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