研究課題/領域番号 |
23580374
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
吉田 剛司 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (00458134)
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研究分担者 |
金子 正美 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (00347767)
伊吾田 宏正 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (60515857)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ニホンジカ / 都市近郊農草地 / 季節移動 |
研究概要 |
ニホンジカが都市近郊に出没して社会問題化しているが、国内では都市に出没するニホンジカの生態は殆ど解明されていない。本研究では、北海道石狩平野におけるエゾジカの生体捕獲と追跡調査によって、国内では生態的に未知で情報不足の都市出没型シカの生態学的な特性をテレメトリー追跡による季節移動の解明と詳細な土地利用図を用いた景観生態学的研究から追究した。当該年度は、踏査と自動撮影装置を用いて、札幌市と北広島市に生息するエゾシカの捕獲候補地を景観生態学的手法も用いて抽出し、実際にボックストラップなどを利用して、都市生態系に依存するニホンジカ(Urban deer)を捕獲して、その生態・行動特性の解明を開始した。札幌市豊平区で生体捕獲したシカ(オス成体)に、GPS型発信機を装着したところ、積雪期に都市近郊の農地から森林と河川を移動ルートとして利用して、さらに冬季には支笏湖畔に移動した。札幌市内に夏季から秋季、特に農作物の収穫時期に頻繁に出没するエゾシカの母集団の越冬場所を本研究により解明できた。また今後の詳細な移動ルートと越冬場所の解析に必要となる空中写真などの空間情報解析に必要となるGIS基盤情報の整備を進めた。 また北広島市内の国有林(石狩森林管理局)にて、2月にエゾシカ2頭に発信機を装着した。これら個体は、状態が悪く、さらに小型であったのでGPS発信機の装着が不可能であった。よってVHF型の発信機を装着することにより追跡を開始した。これまでの追跡の結果、越冬場所から移動を開始していない。ただし、これら個体は、農作物の収穫期に、近隣の農地に出没する可能性が高い。都市近郊の農草地に出没する可能性が高い個体を捕獲できたことは、今後の研究に大きな発展が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は予算総額の確定が遅れために、機材(発信機)の購入が遅れた。さらに当該年度は積雪が非常に多く、シカの捕獲が困難な時期が多かった。一方で、既に3頭の追跡を開始して、さらに捕獲を継続して実践しているので、さらに追跡個体を増やすことにより、研究目的である季節移動の追跡と都市型農草地への依存状況は解明できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当該年度に不十分でたった捕獲個体数を増やす必要がある。さらに最新型のGPS発信機が開発されたことから、次年度の春季にも捕獲を継続して、さらなる季節移動の追究を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
4月、5月にエゾシカの捕獲を継続し、当初の目的となる4頭の季節移動の追跡を実施する。新たに開発された最新型の発信機を1台購入する予定であり、新たな位置情報を取得して地図情報との重ね合わせを可能にする。
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